■中国常州レポート

佐古日記 2023.04

 前回の冒頭にコロナ規制がほぼ完全に解除されたと書きました。ワクチンの効果が低く、周りにほぼ感染者がいない「無菌培養」状態だった中国で規制が解除されて起きることは…。今回はそんな話。
 
 前回のを書いた直後、12月後半にコロナに罹り1週間お休みしました。日本でも「中国コロナ爆発」みたいなニュースが流れていたと思いますが、ちょうどその頃です。40℃近い発熱と頭痛、咳で体力を完全に持って行かれ、ポカリ(中国でも売ってます)とフルーツゼリーで栄養と水分補給。薬は日本から持ってきていた総合感冒薬があったので、それでどうにかなりました。3日ほどで発熱は落ち着き、特に後遺症も無く今は元気に過ごしています。
 同じ頃、永正でも一気に感染者が増え、12月後半は開店休業状態、永正以外の会社でもほぼ同じような状態で経済活動が止まりました。誇張抜きで中国にいる人全員感染したように感じます。罹っていない人を探す方が難しく、そんな人も恐らく無症状感染者だと思われています。
 薬だろうが食料品だろうがネットで注文したら30分ほどで家まで届けてもらえる環境のせいか薬を常備している家庭が少ないようで、感染が増え始めた頃に解熱剤やビタミン剤が薬屋から消えました。薬が買えなかった人が病院に殺到し大混雑となり、病院の保有している解熱剤を急遽無料で配布したようです。薬が余っている人と近くにいる足りない人をマッチングする機能が地図アプリに付いたりもしました。この辺のスピード感は中国らしいです。

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上:2022年12月 下:2023年3月
24時間オープン、1日数千人の検査をしていた永正近くの大規模検査場ももぬけの殻になっていました。
 年明けからじわじわと社会が動き始め、1月半ばには永正も他の会社もほぼ通常運行となりました。その頃にはネイティブがよく使う挨拶「吃飯了嗎?」(ご飯食べましたか?)に代わり「陽了嗎?」(陽性になりましたか?) が使われるようになり、日本人の間でも「罹りました?」が挨拶となっていました(もう使われてないです)。

 中国国内のコロナ大爆発も落ち着き始めた1月8日からは、中国入国時の隔離が完全に無くなりました。COVID-19の中国伝染病予防法上の分類が乙類甲管から乙類乙管(※)に変更され、国境衛生検疫法上の検疫伝染病から外したためです。正式名称も「新型コロナウイルス肺炎」から「新型コロナウイルス感染」に変更となりました。これを書いている2023年3月半ばの時点で日本から出発する場合は、出発前48時間以内のPCR検査陰性証明が必要ですが、シンガポールやニュージーランドなど一部の国から出発する場合は抗原検査キットを使い、「自分で検査して陰性なら渡航OK」、「航空会社も中国政府も検査結果の確認をしない」、に変わりました。近いうちに全ての国からの出発で同じようになると見込まれています。出入国も約3年でようやくコロナ前とほぼ同じ状況に戻ります。

 いい機会なので過去に日本から中国渡航に必要だった検査をまとめました。他にも細かい条件の変更はありましたが、だいたいこんな感じ。(全て渡航日基準、筆者調べ)
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 まとめてみると、ウイルスの変異に合わせて検査要求も変更しているのが分かります。2021年後半に感染力の強いオミクロン株が出現してからPCR検査を2回、3回と増やしていますが、毒性が弱いと分かってきたからか、じわじわと緩和しています。
 駐日中国大使館が指定する検査機関での検査費用は、初期には1回5~6万円位していました。その後は2~3万円が相場となり、任意検査機関でOKとなった昨年11月以降は指定検査機関の間で価格競争が起き、1万円程度まで下がりました。現在は専用証明書が不要で任意の書式で陰性が証明できればOKなので、無料~数千円の検査1回で済むようになりました。入国後の隔離は地域によって違いがあり、明文化されていないことも多く網羅的にはまとめきれませんが、常州では最長で4週間のホテル隔離だったと記憶しています。その隔離も無くなりました。
 
 コロナ大爆発を経た現在の生活はコロナ前とあまり変わらない感じになりました。鉄道や飛行機による都市間移動にも制限がなく、街ゆく人たちのマスク率50%くらい。スーパーなど屋内でもマスク着用は不要です。地下鉄やバスでは「マスクを着用しましょう」とのアナウンスやポスターがあり、これまで着用を強く求められていた経緯も手伝い、ほとんどの人が着用していますが、マスクをしていなくても注意されることはありません。日本では「マスク着用は個人の判断で」、となったようですが、日本に比べて花粉症なども多くなく元々マスクをする人が少なかったので、着用率は今後漸減していくと思われます。
 
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地下鉄入口には「自分と他人の健康のため 正しくマスクを着用しましょう」の標語。
 コロナ規制解除後の話を書いたとしても「マスクをしている人はまだいるけど、2019年以前と同様になりました」としか書けないかな?と思っていましたが、変化が多く書くことが結構ありました。コロナ関係の話はこれが最後となりそうです。なれば良いな。と言うわけでまた次回。

※中国伝染病予防法では感染症を甲類、乙類、丙類として分類しており、2023年1月8日以前、COVID-19は乙類ながらも甲類扱いの管理とされ(乙類甲管)、それに従い感染者の隔離や追跡が行われていました。ちなみに、甲類はペストとコレラの2種、乙類はエイズ、ポリオ、麻疹、狂犬病、デング熱、結核など27種、丙類はインフルエンザ、おたふくかぜ、風疹など11種。

佐古日記 2023.01

 あけましておめでとうございます。
これを書いているのは12月中旬、中国政府が方針一転、新型コロナ対策がユルユルになったので、市民がオロオロしている年末です。上から「特別な状況を除いて健康コードやPCR検査結果を要求しちゃいかん」とお達しが出たので、鉄道や飛行機に乗るのに必要だったそれらが一晩で不要となりました。PCR検査をしたら「何で必要の無い検査をするんだ」と逆に怪しまれるようなことになってて、ここまでコロッと変わるもんだな、などと思っています。
 今回はマクラとは関係なく増値税の話。
 
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常州駅の出口。3年近くここに忌まわしき健康コードチェックなどの関門があったのが、一晩で撤去。
 中国には日本で言う消費税に相当する付加価値税(VAT)として増値税というものがあります。これは中国の税収の4割を占めるもので、税率はものすごく大雑把に言うとモノは13%、サービスは6%です。ちょっと前までは17%だったのが、16%に下がり、2019年から13%になりました。減税なんですが、物価上昇も進んだのであんまり価格が下がった様な気はしません。
 日本では適格請求書等保存方式(インボイス制度)でいろいろ揉めているようですが、中国では日本で言う適格請求書(インボイス)とよく似た「増値税専用発票」というものが使われています。
 簡単に言うと領収書の発行を国(税務署)が管理して、脱税を防止きちんと納税しようというもの。税務署が発行する専用の用紙に増値税発票を発行するための設備(専用ソフト、ICカード、カードリーダなど)を使って印刷します。用紙は3枚綴りのノンカーボン紙になっており、これに印刷するために日本では珍しくなったドットインパクトプリンタ(細い針状のピンを紙に打ち付けて印刷するプリンタ)を使います。1枚目は記帳用として保管、2枚目と3枚目を仕入税額控除用・記帳用として客先に渡します。

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仕入れ控除が出来ない増値税普通発票というものもあり、これは2015年から電子化され、ネットショップなどで買い物したときの発票取得が楽になりました。
 売り手は発票を発行した時点で売上げが税務署のシステムに登録され、買い手は発票をシステムに読み込ませることで、支払った増値税の控除が可能となり経費計上もできる、というわけです。税金を取りっぱぐれない間違いなく納めるために、よく考えられたシステムですね。

 発票は近い客先には持って行くこともありますが、遠いところへは郵送します。記録の残らない普通郵便ではなく配達記録のあるメール便的なのを使うのが一般的ですが、それでも無くなることがあり、よく輸送会社と揉めています。
 紙のやりとりは不便で無駄も多いということで、2021年から一部地域で増値税専用発票の電子化が開始され、現在は全国で発行することが出来るようになりました。しかしシステムの入れ替えなどが必要となるため、電子発票を使っているのは現時点ではごく少数。永正の取引先には、まだ1社もありません。
 電子化と言えば、日本では電子帳簿保存法が改正され、帳簿の電子化が簡単になる目算とのようですが、(自称)デジタル先進国の中国でも電子化が行われています。
 2016年に施行された会計書類管理弁法に規定されていて、証憑書類のスキャン保存も認められています。中国の会計関連文書の保存期間は最長30年(日本は最長10年)と長期なので、スキャン保存が望ましいところですが、デジタル先進国と言えど、実はこの辺はかなり保守的。そもそもスキャン保存のための条件も厳しいため、現時点で導入している会社は少数で、すぐに移行は難しそう。この国は政府がある程度導入のハードルを下げて半ば強制的に「今後はこうしなさい」と言わない限りなかなか動かないのです。

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領収書などを専用台紙に貼って、穴を開けて紐で綴じて保管します。歴史のある大きな会社は保管専用室があるとか。

 納税は日本でも中国でも憲法に書かれている国民の義務。その憲法に中国でも言論・出版・集会・結社の自由、通信の秘密なども謳われているわけで、義務と権利は表裏一体と習ったのにちょっと片務的だな、などと思うんですが、僕らの考える自由とは違うんでしょうね。と言うわけでまた次回。

佐古日記 2022.10

 40℃を超える暑さが続いたかと思えば、最高気温が25℃前後となり、あまりの温度差にやられています。今回は2年ぶりに帰国したので、その話。

 日本では9月に入り日本への入国人数の緩和が行われ、またワクチン3回接種者に限り入国時に必要だったPCR検査陰性証明の免除など、海外と行き来しやすくなりました。諸外国もノービザ渡航の再開や、PCR検査証明書の免除など徐々に外国人を呼び込む方向に進んでいます。しかし、ゼロコロナ継続中の中国では未だに入国時に隔離措置が取られており、これを書いている9月半ばの時点で、入国者は例外なくホテル等での隔離7日間+自宅健康観察3日間の計10日間の隔離が必要です。ホテル等での隔離は部屋から1歩も出ることは許されません。ホテルを選ぶこともできず、割り当てられるホテルにも当たり外れがあり、中国渡航者からは「ホテルガチャ」などと呼ばれています。まだそんな状況の中、帰国しました。

 まずは日本に帰国するところから。
 日本に入国する際はワクチン3回接種済みなど一部の例外を除き、出発日時から72時間以内のPCR検査が必要になっており、証明書の要件も厳格に定められています。他にも、質問票、誓約書などの書類が必要です。これまで入国時には各種書類の確認やPCR検査などで降機後税関を抜けるまでに数時間かかることもありました。しかし3月から入国ファストトラックという制度が始まり、事前にアプリ上で検査証明書をアップロード、質問票などもアプリ上から回答することで事前に各種書類の審査が行われ、スムーズに入国することができるようになりました。今回の帰国でも、この制度を利用しました。上海の空港での搭乗手続き時には、検査証明書と事前審査が終わった旨の画面表示を見せるだけでOK(以前はこのチェックにも時間がかかり、搭乗手続きの列が大変なことになっていました)。

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福岡空港国際線の到着ロビー。吉野家は休業中、山笠は見られなかった。反対側のセブンは営業中でした。
 現時点で中国から福岡への直行便はなく、今回は経由便を利用して福岡空港に到着しました。チェック項目ごとにブースが設けられており、国際線ターミナルの1階から3階まで、北の端から南の端までかなり歩かされましたが、手続き自体はスムーズ。入国審査・税関検査も自動化ゲートを利用し、降機後30分ほどで到着ロビーに出ることができました。中国から来た人に対しては隔離はなく、そのまま公共交通機関を使って自宅まで帰ることができます。
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福ビル、コア、ビブレが…ビッグバン…
イムズもカバーが掛かって取り壊し中でした。
 2年ぶりの日本はかなり変わっていて驚きました。(外でもほぼ全員マスク着用で、いろんなところに設置してあるアクリル板やアルコールスプレーなど。)「アクリル板で面会室」小ボケはもう古いようで、ウケませんでした。

 2週間ほど福岡に滞在し、中国に戻りました。中国入国には、出発2日前と1日前の2回、中国大使館指定の病院でPCR検査を受け、陰性の証明を取得し、決められた時間までに中国の事前審査システムにアップロード、事前審査を終えQRコードが発行されて、ようやく搭乗可能となります。
 機内では感染対策として、機内食やドリンクサービスはなく、事前に配布されたパンと水のセットのみ。エンターテインメントシステムで映画を見て静かに過ごしました。
 中国到着後にはPCR検査や入国審査、税関検査などが行われ、隔離ホテルまでバスで移送されます。隔離ホテルは古いながらもバスタブ、冷蔵庫、窓、テレビと一通りの設備はあり、目測ですが15平米程度と、一人で過ごすには十分な部屋でした。この部屋で7日間過ごします。
 食事は3食暖かいご飯が提供され、味はそこそこ。過去にホテル隔離を経験した方のアドバイス通り、いろんな調味料やインスタント食品、缶詰などを持ち込みましたが、あまり消費せず。ふりかけとインスタント味噌汁が一番役に立ちました。
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支給されたお弁当。色味は悪いけど、味はそこそこ。ご飯がかなり多いので半分までにしてました。

 一応運動をと思い、日本からニンテンドースイッチとリングフィット アドベンチャーを持ち込みました。1日2~3時間程度やってたので、パソコンに1日かじりついている時よりは動いた方だと思います。

 隔離7日間の内に5回のPCR検査が行われました。中国にいるときから何度も受けているので特に感想はないんですが、最終日には部屋のドアノブ、枕、スマホの表面を拭ってPCR検査がありました(モノに付着したウイルスでも感染するから?)。
 7日間のホテル隔離が終わったら、3日間の自宅健康観察です。自宅までは専用の車で移送され、自宅のある社区(町内会的なもの)に引き渡されます。過去の自宅隔離とは違い、ドアに封印はされず、ドア開閉センサーなども設置されませんでした。自宅だし、3日だし、中国を出る前にストックしておいた食料や酒はあるし、出前もOKだったので、自宅に籠もって過ごす3連休だと思えば余裕でした。3日の自宅健康観察が終われば、無罪放免。健康コードも緑になり、買い物や食事に出ることも会社に行くこともできました。
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ほぼ毎日、防護服姿のスタッフが部屋の前までPCR検査に来ます。暑い季節でもこの格好は大変。

 永正の総経理はホテル隔離2週間+自宅隔離2週間+健康観察4週間という気の遠くなりそうな隔離を経験されています。それに比べると10日間はかなり楽になった方だとは思いますが、未だに厳しい対応に中国国内からもいつまでこんなこと続けるのか、との声も聞こえてきます。10月の共産党大会の後に大きく政策が変わるのでは、との噂もあります。この手の噂には何度もだまされてきたので、あんまり期待はしてないですが。
と言うわけでまた次回。

佐古日記 2022.07

  湿度が高くて寝苦しい日が続いている常州です。前回の冒頭で常州はオミクロン株の市中感染で大騒ぎ、みたいなことを書いたんですが、その原稿を書いた直後に更に感染が広がり常州もロックダウンとなりました。今回は記録も兼ねてロックダウンについて。
 3月13日(日)に4人の陽性者が発見され、それからあれよあれよと感染が広がり19日(土)から外出禁止、ロックダウン状態になりました。PCR検査の時以外は家から1歩も出られず、市内の企業活動はほぼすべて停止、例に漏れず永正機械も休業となりました。当初は21日(月)までの予定だったのが24日(木)まで延長となりました。 25日(金)でロックダウンは解除となり、永正機械も営業再開できましたが、従業員全員のPCR検査結果を政府に送信して許可をもらう必要がありました。また、常州市外との物流は途絶しており(常州から来たトラック乗り入れ禁止など)、お客様にご迷惑をおかけすることとなりました。

 常州ではそれまで実施されていなかった400万人規模の住民全員検査も行われました。ロックダウン中の3月19日~21日の3日間で住民全員が2回のPCR検査を受けるもので、この結果が芳しくなかったのかロックダウンは更に3日延長となり、そこでもう1回PCR検査を受けました。
 マンションごとに仮設の検査所が設けられ、検査用のQRコード(名前・身分証番号などが記録されている)を提示して検査を受けます。全員検査のようなスクリーニングの場合、10人1管(10人の検体を1つの容器に入れてまとめて検査。陰性の場合は全員陰性、陽性の場合はその10人を個別に検査、所謂プール方式)で行われます。幸いなことに、住んでいるマンションで陽性の人が出ることはなく、隔離されることもありませんでした。
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全員検査の様子。マンション敷地内のあずまやで行われました。もちろん子どもも検査します。
 その後も定期的に住民全員検査が行われており、もう何度喉に綿棒を突っ込まれたかわからないくらい検査をしました。永正のある武進高新区は従業員が1000人規模の会社もあり、一人陽性者が出ると大規模クラスタとなりかねないため、従業員に対しても定期的に検査が行われています。
 人の動きを止め、PCR検査を頻繁に行って感染者を隔離、という地道な方法で常州市は感染者ゼロを達成しました。ロックダウンの判断が早かったのが幸いしたのか、3月13日から25日まで有症状感染者29名、無症状感染者194人で済みました。
 ロックダウン解除直後はスーパーなどで生活必需品は購入できましたが、レストランなどは出前のみの対応、映画館やネットカフェ、美術館、博物館、温泉、マッサージ屋やバーなどその他殆どの店は休業させられていました。
 お店や企業に入る際や、地下鉄やバスに乗る際には「場所碼」と呼ばれるQRコードをスマホで読み取ることが義務付けられました。お店や駅ごとにQRコードを発行し、ユーザーにそれを読み込ませることで「いつ」「どこに」「だれが」いたのかを明らかにします。濃厚接触者の判定を素早く確実に行うためなんですが、これが結構面倒。お店側もスキャンしてもらわないと罰金を食らうので、一人漏れも無いようにスキャンさせようと必死です。
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ロックダウン後には気軽にPCR検査が受けられる検査点が市内数十カ所にできました。ちなみに費用は16元(2022年6月時点、約320円)
 そんな規制も4月上旬からレストランでの店内飲食が、4月下旬からは映画館やジムなど、5月中旬にようやくバーや温泉などの営業再開が認められました。これを書いている6月中旬の今も場所碼のスキャンは続けられていますが、以前ほどは厳しくなくお店の人もチェックしないことも増えてきました。
 常州が落ち着いたかと思えば日本での報道もあるように上海がロックダウンとなりました。3月半ばに「中国だけではなく、世界経済にも影響があるので上海は絶対にロックダウンはしない」と宣言したこともあり、対応が後手に回ったため感染者が爆増し、ロックダウンは3月下旬から5月末までの約2ヶ月間(それ以前に感染者がいた団地ではそれ以上)に及び、 PCR検査の時以外は家から1歩も出られない状態でした。6月から陽性者のいない団地は外出ができるようになりましたが、何をするにも72時間以内のPCR検査の結果が必要で、検査してから結果が出るまでのラグを考えると2日に1回のペースで検査が必要なようです。ちなみに上海から常州に入ると7日間のホテル隔離+7日間の自宅隔離となるので、以前のように気軽に上海に買い物に行っておいしいものを食べに行く、みたいなことはできなくなりました。 image2
トラック運転手が感染しない(感染源とならない)ようにドアに封印。目的地に着いてもトラックから降りられません。物流を止めないための苦肉の策。

  日本を含め諸外国は入国制限もほぼ撤廃され、海外旅行に行くことも難しくなくなってきましたが、中国は国内移動さえままならない状態。ちゃんとコントロールできてる頃はよかったんですけど。そろそろ方針転換してほしいとは思いますが、まだしばらくは無理そうだと諦めてます。というわけでまた次回。

佐古日記 2022.04

 急に春めいてきて、というより汗ばむ陽気の常州です。これを書いている3月中旬の常州ではオミクロン株が猛威を奮い市中感染が確認され、厳戒態勢が敷かれています。感染拡大阻止のため、市民全員にPCR検査も行われました。
そんな感じで大変な状況ですが、コロナのことばっかり書いても仕方ないので、今回はコーヒーの話。

 中国でコーヒー(中国語では咖啡と表記)と聞いてあまりいいイメージを持たれない方も多いと思います。もともとお茶文化の中国では一般的にコーヒーを飲む習慣がなく、レギュラーコーヒーを見ることは殆どありませんでした。昔は上島咖啡UBC(日本のUCC上島珈琲とは全く関係のないカフェと言うよりコーヒーも出すレストランといったお店。今も営業中)か高級ホテルのロビーくらいでしか、ちゃんとしたコーヒーは飲めなかったように記憶しています。
 コーヒーと言えば砂糖、ミルクが既に混ざっているインスタントコーヒーが一般的でした(今でも飛行機で提供されるコーヒーはそれ)。10年ほど前からマクドナルドやケンタッキーなどがコーヒーに力を入れるようになり、スターバックスコーヒーのオシャレ感、中国ローカルのチェーン系コーヒーショップの爆発的な展開などで、ようやく一般的になってきました。
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2020年1月のコラムで書いた常州のお洒落スポット青果巷にあるスタバ。スターバックスリザーブバーも併設されています。私にはオシャレすぎて落ち着いてコーヒーが飲めません。
  スターバックス(中国語では星巴克)が中国に進出したのが1999年、それから20年を経て上海はニューヨークを越え、世界で一番スターバックスが多い都市となりました。2017年には創業地シアトルに次いで世界で2番目のスターバックスリザーブロースタリー上海がオープン。店内で豆を焙煎する様子を見ることが出来ます。
 常州でもスタバの数は増え続け、多すぎて正確な数は不明ながら50店舗近くあるようです(3月半ばに筆者調べ)。厳選された豆をいろいろな抽出方法で淹れてもらえるワンランク上のブランド、スターバックスリザーブバーもあり、多くのお客さんで賑わっています。
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上海の一等地にあるスターバックスリザーブロースタリー上海。実はコーヒーだけでなく、オリジナルビールも飲めます。
 中国ローカルのコーヒーチェーンも負けていません。瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)は中国のスタバとも呼ばれ、スマホアプリを使って注文・支払いを行う効率的な運用で低価格を実現しています。
 また、2014年のワールドバリスタチャンピオンシップでアジア人初の優勝を果たした井崎英典氏をチーフコンサルタントに迎えるなど、価格だけでなく、品質にも力を入れることでオープンから1年半で米ナスダックに上場するほどの急成長を遂げました(その後300億円以上の架空売上を計上する粉飾決算がバレて、上場から1年でナスダックを追い出され、罰金180億円を受けました)。現在は中国に6000店舗以上を展開していて、中国のスタバの店舗数を越え、中国一のコーヒーチェーンとなっています。
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ラッキンコーヒー。常州にもスタバと同じくらいの店舗があります。

 その他にも、カナダ最大のドーナツチェーン、ティム・ホートンズがカフェをメインに積極的に出店していたり(肝心のドーナツは個人的にはイマイチ)、日本でも話題になった壁に空いた穴から熊の手でコーヒーを渡してくれる熊の手カフェがあったりと、大きいところから小さいカフェまで増え続けています。常州でも個人経営のオシャレな「網紅カフェ」が増えていて、若い人でいつもいっぱいです。
 日本のコーヒーチェーンはどうかというと、上海にコメダ珈琲店が7店舗、同じくドトールが2店舗。もうちょっと頑張ってもらいたいです。

 コーヒーがようやく市民権を得てきた中国ですが、実はコーヒーを栽培しています。コーヒーベルト(北回帰線と南回帰線の間のコーヒー栽培の適地)に中国の南の方が掛かっていて、その周辺で栽培されています。世界2位のコーヒー生産国、ベトナムと国境を接する雲南省の高原地帯が南米の高地とよく似ているとかで、品質の良い豆が採れるようです。
 販売もされており、前述のスターバックス・リザーブでも中国産コーヒーとして提供されていて人気があります。
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コンビニコーヒーも増えています。ローソンでコーヒー1杯10元(180円)から。ちゃんと飲めます。

 カフェが爆発的に増えているとは言え、一人あたりの年間コーヒー消費量は9杯ほど。2013年の資料では3杯なので、この10年足らずで3倍にはなりましたが、日本は350杯ほどなので、まだまだ一般的な飲み物とは言えません。 永正でコーヒーを飲むのは、日本人である総経理と私の2人を除いて2人くらい。しかも日常的に飲むわけでなく、たまに気分が向いたら、といった感じ。私がコーヒーを飲んでると、なんでそんな苦い汁を飲んでるんだ、みたいな顔で見られます。 そんな苦い汁を飲まないとやってけないんだよ。というわけでまた次回。

 

佐古日記 2022.01

 結局日本に帰れないまま2022年になりました。なかなか明けないコロナ禍、2021年11月には常州でも1年以上ぶりに感染者が出て、永正の従業員も濃厚接触者の濃厚接触者ということで出社できないなどの影響がありました。政府の対応が早く、結果として感染者は最初に見つかった3人のみで大きな影響はありませんでした。今回もその話でよかったんですが、たまには変わって地元(中国です)の観光スポット、漢江路の話。

 漢江路とは常州市の北部、新北区を東西に走る15キロほどの道路のことで、漢江西路、漢江中路、漢江東路の総称です。但し、日本人が「今晩漢江路でどうです?」と言ったときの漢江路は漢江東路の東端、晋陵北路から東側のこと。700mほどの道路の北側に日本料理店、日本食材店、スナックやバーが並ぶ常州に住む日本人の憩いの場です。
 そんな漢江路が10月にリニューアルしました。ここのところ中国全土で日本人街と呼ばれる場所のリニューアルや新規開業が行われています。近いところでは蘇州の商業街のリニューアルや、開業から数日で営業停止となって日本でもニュースになっていた大連の日本風情街など。その流れに乗ってなのか、漢江路も2021年6月ごろに突如工事が始まり10月に完成、オープンしました。
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漢江路の入り口。大きな赤提灯の前で写真を撮る親子。
 1990年代には日本料理店がオープンしていたとされる漢江路。常州に進出した多くの日本企業は当時郊外だった新北区に工場を構え、漢江路周辺にも大企業の工場があったそう。そのため日本人がその近くに住み、日本料理屋ができ、日本人がまたその近くに住む…という好循環で、日本人の憩いの場として発展してきました。
 また、漢江路の東の突き当たりには2000年に開業した中華恐竜園という常州を代表するテーマパークの入口があったため、中国人の家族やカップルも多く、門前通りとしても賑わっていました。しかし2014年頃に恐竜園の入口が別の場所に変わり、また複数の日本企業の撤退で日本人の駐在員も減っていき、更には2020年からはコロナの影響で出張者もほぼゼロとなったため、ここ最近は少しさみしい通りとなっていました。
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イルミネーションでキラキラです。電力不足とは何だったんでしょう?
 そんな漢江路を再び盛り上げ、網紅(わんほん。インフルエンサーやSNS映えなどネットで人気があること)とするべく地元政府主導でのリニューアル。ただ、大連のように日本を全面に押し出し、日本風情街などとするとお取り潰しの可能性もあると思ったのか、景観はなんとなく日本っぽいですがあからさま過ぎず、名称も国際風情街となっています。実際のところはインド料理店が1店と韓国料理店が何店舗かありますが、日本料理店が殆ど(33店舗、12月上旬に筆者が実地調査)で地元の人にも日本料理店通りと認識されています。 image2
老舗の江戸家さんもキラキラ。料理屋です---。
 リニューアル後は通りも広くなり、キラキラのイルミネーションやよくわからないオブジェをバックに若い人や子供連れが写真を撮るなど狙い通り映え映えの網紅スポットとなりました。料理店も中国人の客が増え、売上も伸びているようです。
 そんな状況を武進開発区政府が黙っては見ていません。常州の南部にある武進開発区で働く日本人も生活の便のいい新北区の漢江路周辺に住む人が多いため、住居も武進にしてもらうべく星湖広場というショッピングモール併設のレストラン街を開設しました。日本料理屋が1店、寿司屋が1店、焼肉屋が2店、ラーメン屋が1店とそこそこの店舗数で、同じエリアには外国人向けに内装をしたマンションもあり、かなり力を入れて人の誘致をしています。が、鶏が先か卵が先か、漢江路のような好循環の流れにはまだなっていないようで、お店の客の入りも寂しい様子。漢江路の築き上げたものは、そう簡単に崩れることはなさそうです。
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クラフトビールとコーヒーを売る屋台風の
お店も。

  最後に、永正機械では2021年11月に新しい日本製の横型マシニングセンタを導入しました。永正のHPに写真など載せているのでぜひご覧ください。
 そんなこんなで2022年も頑張っていきます。というわけでまた次回。

 

佐古日記 2021.10

 夏が終わり、朝晩は過ごしやすくなってきたとはいえ、昼間はまだ汗ばむ陽気の常州です。常州は、というよりも中国全土がこの2ヶ月ほどデルタ株に振り回されていました。今回はデルタ株との闘いの話。と、ちょっと別の話も。


 日本でもニュースになっていたようですが、今回の大規模感染は7月10日に南京空港に到着したモスクワからの便にデルタ株感染者が乗っており、機内清掃員に感染したところから始まりました。
 7月20日、定期的に行われている全ての空港職員へのPCR検査で感染が判明。感染から判明するまでの10日間は普通に生活しているわけで、気づかないところで感染が広がっていました。(なお、病院関係者や空港関係者など感染リスクの高い職種は定期的なPCR検査が義務づけられています)
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南京などのリスクエリアから帰ってきた人は無料でPCR検査を受けられました。

 8月の旅行シーズンだったのと、デルタ株の感染力も相まって南京空港に乗り継ぎで短時間滞在しただけの客にも感染し、中国全土に広がりました。結果的に18省の48都市で1,200人以上の感染者が出る、昨年の武漢以来の大規模な流行となりました。
 発生源となった南京(235人)よりも多くの感染者が出たのが長江を挟んで北東に位置する揚州(570人)。南京市が移動制限を出した後に南京から揚州へ移動した64歳の女性が感染しており、症状が出るまで毎日のように雀荘通いをして、雀荘を介したクラスターとなりました。この女性は移動制限に違反して重大な結果を招いたとして逮捕されています。

 常州市は南京市と南西部で接しており、また人的にも経済的にも南京との結びつきは大きいため、厳戒態勢となりました。南京からの流入を防ぐために南京と接する道路や高速道路のインターチェンジでは検問が実施され、PCR検査陰性証明がないと常州へ入れませんでした。
 また揚州の件もあり、南京や揚州などリスクエリアから来た人のあぶり出しが行われました。企業では政府からの指示で従業員に対し7月10日以降に行った都市を自己申告させたり(嘘ついたら大変なことになるよ、との脅し文句付き)、マンションの警備員が家まで来て南京、揚州に行っていないことを確認したり、挙げ句に報奨金付き密告制度(リスクエリアに行ったけど政府に報告してない人を通報したら2,000元(約35,000円)貰える)まで。
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「リスクエリアから帰ってきたのに申告してない人を教えてね、お礼するよ」のポスター

 生活の範囲でもいろいろ影響がありました。マンションの裏口が封鎖され、正面からしか入れず、かなりの遠回りをする羽目に。また地下鉄に乗るときも従来の健康コードだけではなく、携帯電話の位置情報をもとに、過去14日間に行った都市を表示する行程カードの表示も必要になりました。健康コードを表示するのさえ面倒なのに、行程カードまで表示させるもんだから改札前は大渋滞。スーパーやレストランでも健康コードや行程カードの表示が必要となり、バーやネットカフェ、ジム、マッサージ屋、風呂屋などは営業停止になりました。
 そんな甲斐あって(?)か、幸いなことに常州では一人も感染者を出すことがなくこの流行を乗り切りました。これを書いている9月半ばの時点で南京、揚州からリスクエリアはなくなり、上に書いた対策は解除され、ほぼ以前の状態に戻ることができました。 

 コロナ一辺倒で暗いニュースが多かった常州ですが、明るいニュースも。
 東京オリンピックで旗手を務めたテコンドーの趙帥選手は常州出身(生まれは遼寧省)。リオでは金メダルでしたが、階級を上げて臨んだ今回は、惜しくも銅メダルでした。それでも常州ではかなり盛り上がりました。
 また、常州地下鉄1号線に続き、2号線が6月末に開通しました。常州市を東西に横断する路線で、15駅全長約20kmを30分で結びます。常州市域を南北に縦貫する1号線とは文化宮駅で乗り換えできます。家の近くにも駅ができ、地下鉄通勤も可能になりました(最寄り駅から会社まではシェア自転車で)。が、開通後すぐ引っ越したため、地下鉄通勤は幻となりました。
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2号線のイメージカラーはターコイズブルー。
1号線と同じく東端は地上駅です。

 少し前に常州含め各地で公共交通機関やスーパーなどを利用する人はワクチン接種証明を提示しろ、とのお達しが出ました。日本ではワクチン接種による行動制限緩和が議論されているようですが、そんな話ではなく接種率アップが地方政府の評価につながるからなんだ、と勝手に想像しています。
 実際にこのお達しが出てから永正でも接種者が増え、現時点でほぼ100%です。しかし、実際にワクチン接種証明を確認されたのは1回だけ。通達がアナウンスメント効果的に働いたのか、接種数は急上昇したようで接種証明を確認する必要がなくなったのかもしれません。実際のところは接種証明の確認があまりに面倒だったから、だと思っていますが。どちらにしても中国らしいですね。
 というわけでまた次回。

佐古日記 2021.07

 常州も本格的な夏といった感じでエアコンなしでは厳しくなってきました。 常州ではもう長いこと新型コロナの市中感染は出ておらず警戒レベルも下がっていますが、広州市ではデルタ型(インド型)の大規模な市中感染が起き(とはいえ人口1,500万人で150人ほど)、全住民にPCR検査を行うなど警戒レベルが最高になっています。まだまだ予断を許さない状況の中ワクチン接種が進められています。今回はワクチンの話。

 日本でも接種が進められている新型コロナウイルスワクチン、こちら中国でも国産ワクチンをガンガン接種しています。1日2,000万回以上のペースで接種が行われ、6月10日の時点でトータル8億回の接種が終わっているとか。とてつもないスピードです。

 この原稿を書いている時点で中国国内において承認されているワクチンは大きく分けて6種類です。(承認順)
1. BBIBP-CorV 中国医薬集団(シノファーム)北京生物
製品研究所(不活化ワクチン、2回接種)
2. CoronaVac 北京科興生物製品(シノバック)
(不活化ワクチン、2回接種)
3. WIBP-CorV 中国医薬集団(シノファーム)
武漢生物製品研究所
(不活化ワクチン、2回接種)
4. KCONVAC 康泰生物制品(不活化ワクチン、2回接種)
5. Convidecia 康希諾生物
(ウイルスベクターワクチン、1回接種)
6. RBD-Dimer 安徽智飛龍科馬生物製薬
(サブユニットワクチン、3回接種)

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今日の日替わり定食」のような「今日のワクチン」上から左表の2,1,5のワクチンがあることを知らせています。

 このうち1と2はWHOの緊急使用リストに加えられ、COVAX(ワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み)にも供給されます。不活化ワクチンは2℃~8℃での保存と一般の冷蔵庫でも保存可能なので、途上国などでは特殊な冷凍庫が必要なファイザー製などに比べてこちらの方が使いやすい、とも言われています。

 そんなわけで、国産(中国産)ワクチンを打ってきました。

 常州でも接種できますが、予約に中国人しか持てない身分証の番号が必要だったり、電話で予約だったりと、あまり外国人には優しくない仕様。できるだけ早めにワクチン接種したかったので、上海で接種しました。上海は外国人も多い分、体制も整っており外国人専用枠が用意されています。

 まず、スマホで予約を取ります。上海市が出している健康管理アプリ(病院の予約とかも出来る、結構便利)に名前やパスポート番号などの情報を入力し、自分専用のバーコードを取得します。その後、アプリから都合のいい接種会場と日時を選んで予約するだけです。そんなに難しくはないです。
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1回目に接種したときの注意書きと「ワクチン打ったよ!」ステッカー。

 予約した日時に接種場所へ行き、まずは注意事項と健康状態を確認し、承諾書にサインをします。1回目は英語と中国語でしたが、2回目には日本語も準備されていました。その後支払いをします。中国人と中国の公的保険に加入している外国人は無料ですが、普通の外国人は100元(1,700円くらい)でした。支払いが終わるといよいよ接種です。

 まず先に取得したバーコードをスキャン。例によって肩付近の筋肉注射で、痛みはほぼ無く一瞬で終わりました。今はワクチンを選択できるようですが、1回目の頃は選べず1のBBIBP-CorVのみでした。接種が終わったら待合室で30分待機し、特に問題も無かったため帰ることが出来ました。待機時間も含めて40分~1時間程度とスムーズでした。

 その4週間後に再度予約を取り、2回目の接種をしました。2回目が終わったことで接種証明書が貰えました。

 気になる副反応ですが、1回目、2回目ともに若干の吐き気と頭痛、怠さがありました。2回目の方がちょっと強めに出ましたが、1晩寝ると回復しました。元々不活化ワクチンは効き目がそれなりな分、副反応も少ないと言われているようですが、熱を出して寝込んだりする人も。ただ、少なくとも自分の周りでは重篤な副反応は聞こえてきません。
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健康管理アプリからも接種状況を
表示できます。

 中国人の場合も当初は予約が必要でしたが、最近はショッピングモール、オフィスビル、高速鉄道の駅などに開設されている臨時の接種会場に行けば予約も必要なく、その場で接種できるようになりました。どうも社区(町内会的なもの)で接種率を競っているようで、接種した人には牛乳や卵、油などをプレゼントするところも出てきました。臨時の接種会場にSNH48のメンバーが来るなどの接種率アップ策に余念がありません。


 が、これは潤沢にワクチンが割り当てられている上海の話。常州の割り当てはそんなに多くないようで、先日もとりあえず1回目の接種を優先し2回目の人は後回し、とのお知らせが出ていました。常州よりも規模の小さい街では2時間並んでも打てない、みたいなこともあるようですが、ワクチン自体は増産に増産を重ねているのでこの辺の問題は時間が解決してくれるでしょう。
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上海虹橋駅地下コンコースに開設された臨時のワクチン接種会場。ふらっと寄って打っていく人も。


 現時点で、接種した事によるメリットは抗体が出来たくらい(たぶん)、強いて言えば人と話すときにネタが一つ増えたくらいかな?希望としては中国入国時の隔離期間短縮とかなんですが、残念ながらそういった話も聞こえてきません。ワクチンを打っていても感染の可能性はあるわけで、そう簡単には隔離期間短縮とはいかなそうです。

 なのでそろそろ日本に一時帰国したいなぁ、と思いつつ当面は無理みたいなので高い輸入食品をネットで買って気を紛らわせています。「差し入れ歓迎します。」と言うわけでまた次回。


※上記内容は6月15日時点で筆者が体験し、調べたものです。日本国内における新型コロナウイルスワクチンについての詳しい情報は厚生労働省、首相官邸のサイトをご確認下さい。
 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
 首相官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

佐古日記 2021.04

 常州は春節も明け、ようやく日常に戻ってきました。春節前には中国北部を中心にコロナの市中感染が広がりどうなるかと思われましたが、2月22日には中・高リスクエリアは無くなり、中国全土で低リスクエリアとなりました。コロナの状況もある程度落ち着いているので、たまには別の話題を。今回は上海ディズニーランドの話。

 なぜ突然ディズニーランドなのかと思われたかもしれませんが、なぜならこれを書いているまさに今、羨ましいことにうちの妻が上海ディズニーランドで遊んでいるからです。
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奇幻童話城堡。小さくて見えにくいですが、白雪姫さんとシンデレラさんが手を振っていらっしゃいます。

 上海ディズニーランドは、アジアでは東京、香港に続き3番目、中国大陸では初のディズニーランドです。上海浦東空港から車で20分ほどの上海市郊外にあり、上海市内からは地下鉄で約1時間の立地です。2016年6月にオープンし、2018年にはエリア拡張を行い、入園者数も順調に増えていました。コロナの影響で2020年1月下旬から営業を休止していましたが、中国国内のコロナの感染状況が落ち着き、対策もとられるようになった2020年5月11日より世界のディズニーパークに先駆けて営業を再開しました。私もコロナ前の2017年12月と営業再開後の2020年6月の2回行きました。ちなみに東京ディズニーランドは未体験。


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入園待ち列の地面貼ってあった「ここには立たないで」 のイラスト。ソーシャルディスタンスを保つための工夫です。

 落ち着いたとは言え、感染対策には力が入っており、そもそもの入園者数自体が定員数の3割程度に抑えられています。事前にオンラインで実名予約が必要で、携帯電話番号と身分証明書番号の入力を求められます。入園時には検温はもちろんのこと、上海市の健康コード(随申碼)の提示が必要です。食事をするとき以外は常にマスクの着用が必要で、マスクを外していたり正しく着けていなかったりするとキャストから注意されます。
ディズニーキャラクターとハグや記念撮影などが楽しめるグリーティングも、再開当初は行われておらず、私が行った2020年6月にはメインのお城(Enchanted Storybook Castle、奇幻童話城堡と言うらしい)からディズニープリンセスの皆さんが手を振るだけでした。でも最近ではソーシャルディスタンスを守ることで、グリーティングは再開されているようです。

 そんなコロナの影響下でのディズニーランド、悪いことばかりではなくいいことも。前述のように入園者数を絞っているため、アトラクションの待ち時間が大幅に短くなっています。2017年に行ったときはクリスマスイベント真っ只中で何をするにも行列、あるアトラクションでは寒空の中300分待ちとかもありましたが、2020年6月は長くても60分程度、最近は閑散期なのでもっと短いようです。

 世界で一番新しいディズニーパークなので、そのアトラクションも最新のものが導入されています。お薦めは「トロン・ライトサイクル・パワーラン」と「カリブの海賊 バトル・フォー・サンケン・トレジャー」の二つ。
 前者は映画トロンに出てくるライトサイクルに跨がり、前屈みの状態で乗るローラーコースター。リニアモーターによる加速で、最高時速は100kmに達し(世界中のディズニーパークで最速らしい)、超スリリングです。
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ソーシャルディスタンスを保ちながらディズニーキャラクターがお迎えしてくれます。

 後者はパイレーツ・オブ・カリビアンがテーマのアトラクション。ボートに乗り、海賊の世界を回りながら最新の技術でジャック・スパロウ(映画の主人公格である海賊です)が動き、喋り(もちろん中国語で)、デイヴィ・ジョーンズ(悪役の海賊。詳しくは映画を見てね)と戦います。もちろんロボットですが、人が入っているんじゃないかと思うくらいリアルで、臨場感も半端じゃないです。

 2016年の開園当初は、日本のメディアなどでもマナーが悪いとか道ばたで子供にトイレさせているなど言われていました。たしかに開園当初はそのような状況もあったようで、1回目に行ったときは気になることもありました。しかし去年行った際にはそう気になることはなく開園して5年、マナーは確実に良くなっています。

 福岡からだと一番近いディズニーランド(直線距離で東京ディズニーランドより50kmくらい近いはず。筆者調べ)なので、コロナが収まったら是非遊びに来て下さい。また、今年5月にはユニバーサルスタジオ北京(略してUSB)もオープンします。こちらも最新技術を駆使したアトラクションが目白押しらしいので早く行ってみたいのですが、人が多いのはイヤなので少し落ち着いてからにします。
 と言うわけでまた次回。

佐古日記 2021.01

 2020年はコロナに翻弄された1年でした。
 発生地だと言われている中国では、現時点では押さえ込みに成功しています。「虚偽だ」「隠蔽だ」とおっしゃる向きもありますが、中国国内にいる限りそのように感じることはありません。下手に隠して感染拡大した方がマイナスだと判っているのだと思います。
 と言うわけで、ここ最近の状況を。

 11月に上海ではこれまで数ヶ月間出ていなかった市中感染が発生し、ちょっとだけ警戒度が上がりました。浦東空港の貨物ターミナルで働く人とその家族が感染したもので、「航空貨物か貨物便のクルーとの接触が原因では」と考えられています。
 上海市の対策部門は、感染者が住む団地を「中リスクエリア」に指定し、移動を制限。団地の全住民と濃厚接触者、貨物ターミナルの職員全員に対して、複数回のPCR検査を実施しました。その後新しい感染者が2週間出なかったため警戒レベルは下がり、現在は通常の生活に戻ることができています。

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携帯電話の基地局情報を元にした行程カード。ホテル宿泊の際などに提示を求められます。上海に「中リスクエリア」があったため、赤字に。

 このように1例発見すると濃厚接触者を特定し、居住地一帯の住民の移動を止め、全員を検査することで感染が拡がるのを防いでいます。今回確認されたのは上海の東の端、浦東空港近くだったため、上海中心部はいつもと変わらない生活が送れていました。(一口に上海市と言っても福岡県より大きいので・・・。)

このところ中国各地でちょくちょく市中感染症例が発生しており、発生源を見ると

  1. 海外からの輸入冷凍品?(天津、大連、青島)
  2. 海外からの航空貨物?(上海)
  3. 国境・境界近く(雲南省、内モンゴル自治区、黒竜江省、深セン)
  4. その他・現時点で不明(成都)
 となっています。

 最近、中国政府は盛んに①のようなコールドチェーンによる輸入症例を発表しています。COVID-19が初めて確認された武漢で大規模感染が発覚したのも水産品市場だったことを考えると、「武漢もコールドチェーンによる輸入症例だった」と暗に主張しているようです。
 ホントのところは分かりませんが。
江蘇省では市中感染は長らく起きておらず、弊社のある常州市では一部の施設を除き、検温なども実施されていません。ショッピングモールなどではマスクなしでも大丈夫ですし、映画館も飲食禁止、マスク着用は必須ながらも、一席おきとかではなくすべての座席が使用できます。

 多くの日本料理屋や「接待を伴う飲食店」が集まる漢江路も営業中です。コロナ前よりも駐在日本人や出張の日本人が減った分、経営的には厳しいところが多いようですが、それでも人気のお店は予約なしでは入れないほどです。テーブルの配置もコロナ前と同じなので、そんなお店は当然「密」状態になるわけですが、市中感染が起きていないため、それも問題ありません。 image2
LED煌めく漢江路。

 2020年は6月、8月、11月と一時帰国のフライト予約を入れていたわけですが、残念なことにすべてキャンセル。そろそろ一時帰国したいところなんで、2月の春節に合わせ予約を入れていますが、さてどうなるか。11月の日中外相会談でビジネス往来の取り決めがされましたが、フライト便数は未だ制限され中国入国時の隔離も継続中。状況は以前と変わりありません。
 「2月のフライトもキャンセルなんだろうな、飛んだとしても隔離が必要なんだろうな」などと思いつつ、淡い期待を抱いています。この結果はまた次回に。

佐古日記 2020.10

 ようやく秋の気配が感じられるようになり、朝晩は肌寒い日もある常州です。上海や江蘇省近郊では新型コロナウイルスの市中感染はゼロが続いていますが、輸入症例は毎日数件発見されています。輸入症例の水際対策として中国は強制隔離措置を執っており、そんな状況の中で弊社総経理の中原が中国に戻ってきました。今回はそんなお話。

 1月の春節休み中、東南アジアを旅行していた弊社総経理。2月上旬に経由地のマカオから常州入りする予定が、新型コロナでフライトがキャンセルとなり、関空行きに振り替えられ、日本に帰国していました。

 中国国内での感染が拡大し、移動制限等が厳しい状況で中国に戻るのを先延ばしにしていると、諸外国での感染が爆発的に増え、輸入症例が問題となったため、中国入国時に14日間の強制隔離措置が執られるようになりました。当初は夏頃には隔離措置も解除されるだろうと楽観視していましたが、2020年9月現在未だに解除されていません。入ってくる人自体を減らすために、発行済みのビザや居留許可は無効に、フライトも各航空会社週1便に減便されました。

 総経理は隔離措置がなくなるまでは日本に滞在するつもりだったようですが、8月の上旬に中国入りしました。

 まずは岡山出発から。コロナ前なら岡山空港から直行便が出ていたのですが、日本の受け入れの問題で、関空と成田しか国際線が飛んでいないため、近い関空まで移動。関空までの空港リムジンバスも運休なので、新幹線から23 kgのスーツケース2個+機内持ち込みのカバンを必死に運んで関空着。

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 上海のホテル。漂う古さとバランスボール。

 関空ではチェックイン時に体温測定とスマホで中国政府の要求する健康情報の登録の確認がされ、手指消毒。フライト自体はいつも通りで機内食も出て搭乗率もほぼ100%だったようです。マスクだけの人がほとんどですが、フェイスガードや防護服着用の人もいたようです。

 上海の浦東空港到着後、問診とPCR検査が行われ、行き先ごとに別れ隔離ホテルへ。以前は上海から入国した人は上海で14日間の隔離だったのが、上海の隔離ホテルが逼迫しているため、7月末から上海7日+目的地7日の隔離になり、総経理もそれに該当したので、上海のホテルに7日間、常州のホテルで7日間の隔離となりました(その後さらに逼迫したようで上海3日、目的地11日に変更になりました)。

上海のホテルは、エアコンはついているものの、冷蔵庫は無し。古い中国のビジネスホテルと言った風情。部屋の広さはそこそこあり、後述する室内での運動もできたようです。ホテルを選択することはできず、同じ便に乗っていた常州の会社勤務の方は、上海郊外の安いチェーン系のボロホテル。隔離ホテルの良し悪しは完全に運のよう。

 上海での7日間の隔離後は、常州へ移動となりました。常州での隔離は、有名なテーマパーク「常州中華恐竜園」近くのホテル。恐竜園に行く家族連れをターゲットとしており、広いファミリールームには機関車トー○ス風の装飾と子供用の二段ベッド。さらに滑り台。そこにおじさん一人。上海のホテルに比べると新しいこともありきれいで広く、冷蔵庫もあり、上海に比べかなり快適だったとのこと。
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 常州のホテル。トー○ス風。
 隔離中、食事は基本的に毎食ローカル料理の弁当が支給されます。隔離当初は半年ぶりの中国ローカル飯ということでかなり難儀し、日本から持ってきたレトルト食品や缶詰、カップ麺などで急場をしのぎ、ふりかけやレトルトカレーを弁当にかけるなどの工夫をすることで乗り切ったようです。
 また、スープジャーやフードコンテナと呼ばれる保温できる容器を使い、レトルト食品を温めたり、生タイプうどんを作ったりしていたそうで、それなりに充実した食生活だったよう。
 上海では出前や差し入れは禁止されていたのですが、常州のホテルでは差し入れが可能で1度だけ差し入れを持って行きました。ちょっと摘まめる甘いものと、総経理が「どうしてもアイスが食べたい」とのことで、クッキーやポテチなどとともに、ご希望のアイスクリームを見繕って持ち込み。フロントに預けて後ほど部屋まで配達される仕組みで、すぐに配達されたこともあり、アイスが溶けることもありませんでした(が、アイスのお味がお気に召さなかったらしくご不満のようでした)。

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 充実した食生活の一端。

 14日間、狭い部屋から1歩も出ることを許されず、運動不足になることは確実。総経理は折りたためて便利なバランスボールを日本から持ち込み、椅子代わりにそれの上で生活していたそうです。また、部屋もそこそこの広さだったため、歩き回ることで1万歩以上の歩数の日もあったとか。スマホにはラジオ体操の音源を入れていて、毎朝定時にラジオ体操をして体を動かすことで、時間のメリハリをつけていたそうです。

総経理に、隔離中レトルト食品などの食品以外に便利だったモノ、必要だったモノを聞くと、
  1. 電子体温計(1日2回、検温して報告の必要あり、支給される水銀体温計は不便)
  2. 粉末・液体のお茶、コーヒー(支給される飲料水に溶かすだけで飲めて便利)
  3. 洗濯ひも、洗濯ばさみ(下着など手で洗って干すため)
  4. ふりかけ・調味料・香辛料(味変して飽きずに弁当を食べるため)
などのお答えをいただきました。隔離予定の方は参考にしてみてください。

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 支給された水銀体温計
 日本じゃ見なくなって久しいですね。

 そしていよいよ解放の時を迎えます。
最初は数週間の旅行の予定だったわけで、しっかりとした準備もせずに放置され、しかもひと夏を越した総経理中原邸。恐る恐る入ると、ひどい悪臭。どうやら排水トラップの水が蒸発していて悪臭が上がってきただけのようで、水を流し換気をすることで、すぐに解消。思ったよりも荒れてはおらず、すぐに生活できる状態で安堵していました。鍋に忘れられていたゆで卵が発見されるまでは・・・。

 じわじわと人的交流が増えてきている印象ですが、まだまだ自由に往来できない日中間。日本に帰れる頃には隔離措置もなくなっていて欲しいと思いつつ、2週間のホテルステイも体験してみたいとちょっとだけ思っています。そんなに甘いものじゃないとは思いますが。
 というわけでまた次回。

佐古日記 2020.07

  6月も半ばとなり、常州は雨が続いています。およそ半年となる新型コロナウイルスの流行も新しいステップに入り、前回とも様相が変わってきました。現在の様子をご紹介します。

 常州市内では、ほぼコロナ前と変わらない状況になってきました。マスク着用を強制されることはほぼなく、スーパーやショッピングモール、レストランに入る際にも「マスクなし」「検温なし」「健康コードの提示なし」で大丈夫になりました。ただ、バスや地下鉄、5月から再開した学校などではマスク着用が義務付けられています。封鎖されていた団地の入口のバリケードも撤去され、ジムやカラオケ、マッサージやプールなども営業再開しています。まだ営業していないのが映画館。7月以降に再開するようです。

 しかし、中国政府は警戒態勢を緩めていません。4月後半以降は、国内での感染者の発生は落ち着き、海外からの入国・帰国者から毎日数人発見されるような状況でした。5月半ば以降、中国各地で小規模クラスターがポツポツと発生し、日本でも報道されているように、6月半ばには北京の卸市場でクラスターが発生。北京市は3級まで落としていた警戒レベルを2級に引き上げ、一帯を高リスク地区に認定、ロックダウン状態とし、付近住民や市場関係者35万人にPCR検査を行っています。

 首都北京ということ、更にクラスターの規模が大きかったこともあり、遠く離れた常州市でも、5月30日以降に北京の卸市場に行った人、市場関係者と接触した人に対し、自治会へ自主的に申告し、PCR検査を受けるように発表しました。常州市の発表では、強制的な隔離措置を取るとは明記されていませんが(たぶん隔離される)、上海市では高リスク地区から来た人へ14日間の集中隔離と2度のPCR検査をすると発表されています。

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前回ご紹介した団地のバリケードもきれいに無くなっていました。

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北京の卸市場でのクラスターを受けて会社の近くの市場でもマスク着用、検温を行う旨の案内。ちなみに検温する人もマスクをしている人もいません。

 北京クラスターの最初期には「サーモンを切ったまな板からウイルスが検出された!!」と報道され、スーパーや日本料理屋で中国人が大好きなサーモンの刺身が販売中止という騒ぎになりましたが、流石にそれは無いよねってことで、数日で騒ぎは収まりました。ウイルスのDNA検査の結果、3月頃にヨーロッパで流行したタイプのようで、3月末から外国人の入国を基本的に禁止している状況を考えると、無症候感染者がじわじわと感染を広げて、市場で爆発したのではと言われています。

 このように日本とは違い、中国は積極的にPCR検査を行うことで感染者を発見、隔離する方法で抑え込んでいます。4月後半には感染者・入院患者がゼロとなった武漢でも、5月に6人のクラスターが発生したため、再流行を懸念した武漢市政府は、10日間で武漢の市民1000万人全員にPCR検査を行いました。「十日間大会戦」と名付けられたこの作戦で約200人の無症候感染者を発見、隔離治療を行いました。
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元気に"広場舞"をしているおばさま方。4月には出来なかったことです。

 中国ではPCR検査は自費でも受けることができます。常州の公立病院では、どこでも240元(約3,600円)出せばすぐにやってくれるようです。何とかセンターに電話しろとか言われることもありません。
 各国それぞれやり方があり、良い悪いを判断するような知見も持ち合わせていませんが、中国のやり方は住んでいて安心感はあります。その分人的・資金的なリソースをかなり割いていることも事実。今の中国だから出来るやり方なのかもしれません。

 第二波を警戒して永正机械ではマスクと消毒液の備蓄を行い、個人的にもいつロックダウンされても良いように自宅籠城用の保存食の備蓄をちびちびと進めています。前回の最後に書いた6月の日本帰国のフライトはキャンセルになったので、改めて8月のフライトを予約しましたがこれもどうなることやら。そろそろ日本から物資を補給したいところですが、まだしばらく我慢となりそう。

 というわけでまた次回。

佐古日記 2020.04

 気温が20℃を越え、ようやく春らしい季節になってきました。
 が、新型コロナウイルスの影響でまだまだバタバタしている常州です。日本では「PCR検査が~」とか、「政府の対応が~」とか色々と議論はあるようですが、専門家でもないですし、ここで提言をしたところで何の影響力もないので、今回は中国で行われていた新型コロナウイルス対策の話。(状況や政策等はめまぐるしく変わっていて、以下の情報は3月19日時点でのものです。)


 今年は1月24日から1月30日までが国が決めた春節(旧正月)の休暇で、永正は1月22日から2月2日までを休みとしていました。
 春節休暇前までは、まだどこかで対岸の火事のような感じでしたが、あれよあれよという間に感染が広がり、休みも中盤になる頃には厳戒態勢。

 1月27日には、国務院が「2月2日まで春節休暇を延期する」と発表し、1月29日には江蘇省が「2月9日まで企業の業務再開を禁止する」と発表しました。

 業務再開には、政府の許可が必要で、許可の条件として
  ・従業員のリストを提出
  ・1日2枚のマスク配布
  ・1日2回の体温測定、記録
  ・工場内に入る人の体温測定、名前、電話番号等の記録
  ・発熱があった場合の隔離室の設置
  ・セントラルエアコンの使用禁止
 などの対策を取る必要があり、特にマスクの入手に困った会社が多かったようです。

 永正は2月17日に営業再開し、現時点でほぼ通常通りの営業となっています。
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出勤時の検温の様子。検温と同時にマスクを配布します。

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いつもは車も人も多い常州中心部の道路の様子。上はまだまだ厳しい2/20頃、下はかなり緩くなった3/15頃

 続いては、生活周りの状況を。
 一番厳しい時期は、ショッピングモールなど人が多く集まるところは営業休止となっていましたが、生活に必要なスーパーマーケットなどは開いていました。 もともと春節中は物流が止まるので、生鮮食料品の供給が追いつかないことがあるんですが、什器がカラになるほどではなく、モノの不足を感じることはありませんでした。ショッピングモールなどは次第に営業再開していますが、生活に直結しないジムやプール、マッサージ、カラオケなんかは未だに営業休止中です。学校もごく一部は再開しているようですが、基本的にお休み。オンライン授業が行われています。
 会社、学校が休みなので、公共交通機関も動いていませんでした。バスは全路線で運休、地下鉄も普段なら1時間に10本程度あるんですが、1日に16本。それでも人はほとんど乗ってなかったようです。
 現在はバスも地下鉄も春節前とほぼ同じ状況になりました。

 休みの初期は、政府から「外出を控えるように」との指示はあったものの、家の出入りに規制はなく、普通に生活できていました。
 しかし2月2日頃からは、マンション・団地を封鎖して、住民しか入られないようになり、住民にカードを配布し、出入りを管理していました。マンションによっては、「2日1回1家族1人まで外出可」といった制限を設けているところもありました。
 ウーバーイーツ的な出前や宅配便も、マンションの入り口までしか運んでもらえません。なお、出前を頼むと作った人、包装した人、運んだ人の名前と体温が記入してある紙がついてきます。
 エレベータはボタンに触れるので感染の危険があるということで、操作パネルにラップが張られ数時間ごとに交換、ボタンは「備え付けのつまようじで押すように」との指示。意味があるんだかないんだか。密閉空間ということもあり、数時間おきに消毒を行っていて、常に塩素系の香りがしています。
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マンションの出入証。このカードがあれば住民として敷地に入ることが許されます。

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封鎖中の団地の入口。いつもは複数の門が開放してあり、出入り自由なんですが、現在も1ヶ所からしか入れません。

 感染者が発生した場合、すぐに濃厚接触者が追えるよう、ポイントポイントで名前と携帯電話番号の登録、身分証明書の確認、体温測定などが行われています。 当初は紙に記入していたんですが、スマホによるQRコードを使った健康コードシステムが稼働、QRコードの色がその人の状況(緑:健康、黄:要観察、赤:要隔離)を表し、スキャンすることでその真正性を確認できます。駅やショッピングモール、オフィスビルに入る際には、それの提示を要求されます。
 上海の地下鉄では、車両内での濃厚接触者を探すため、すべての車両にユニークなQRコードが張られ、乗車したらそれをスキャンし、携帯電話番号を登録します。
自家用車で移動するときでも、省の境界やインターチェンジに検問が設置され、スマホでどこから来てどこへ行くのか、住所、携帯電話番号などを登録をする必要があります(江蘇省はなくなりました)。

携帯電話の位置情報を利用して、この1か月に滞在した場所を表示するシステムもできました。これで武漢や温州などの高リスク地区の滞在歴がないことを証明できます。

 今までも政府にある程度移動の監視をされていたわけですが、今回の新型コロナウイルスによってそのレベルがかなり上がった感じがします(状況が落ち着けば取りやめるとは思いますが)。全ての移動を政府に見られているというわけで、日本人からすると恐怖かもしれませんが、中国人は状況が状況だから仕方ないと受け入れているよう。
 逆に「日本の新型コロナ対策が甘い」と中国人は思っているようですが、日本の法制度上難しいとは理解してもらえません。日本じゃ新型インフルエンザ特措法の私権制限で揉めて造反した元検察官の代議士が離党したみたいですが、そんなのはもっと理解してもらえないでしょう。

 常州は2月18日以降、新規感染者は出ておらず、3月7日にはすべての感染者が治癒退院しています。
 江蘇省としても2月19日以降に新規感染者は出ておらず、3月14日にはすべての感染者が治癒退院しました。
 そのため、外国からの輸入症例を警戒しており、日本を含む計16か国からの渡航者及び過去14日間にこれらの国々での滞在歴がある人は、国籍を問わず14日間のホテル等での集中隔離を行っています。
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江蘇省が発行する健康コード。健康なので緑です。
 日本に帰っても14日間隔離なわけで、日中往復するとほぼ1か月隔離生活。今までみたいに気軽に日本に帰るのは難しい。しばらくは「中国でおとなしくしてろ」との思し召しだと思うようにします。
 が、6月のフライトの予約を取っているので、それまでに規制が解除されるかが悩みの種です。

というわけで、また次回。
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「早く発見、早く報告、早く隔離、早く診断、早く治療」街中こんなスローガンだらけ。疫病に勝利する!など威勢のいい文言も。疫病もプロパガンダに。

佐古日記 2020.01

2020年となりました。常州は相変わらず年末年始は何事もなく、春節の雰囲気が出てきたかな?くらいです。今回は新しいスポットの話。

 常州はここ数年、古い繊維工場をカフェやバーが入る「運河五号」という観光スポットにリニューアルしたり、歴史的建造物にイルミネーションを整備したり、観光案内所を設置したり、案内看板を増設(しかも日本語あり)したりと観光に力を入れているようで、新しいスポットの開発にも余念がありません。 image
青果巷入口。立派な門が建ちました。
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上が昔、下が現在の青果巷。奥に同じビルが見えます。所々にリニューアル前の写真が飾ってあり、対比してみるのも楽しい。
 そんな中、2019年春に新しくオープンしたのが「青果巷」。オープンとは書いたものの、もともとは明の時代にできた古い通りで(日本語の案内看板によると「横丁」)、つい最近まで昔の雰囲気を残し、現に人々が生活する通りとして知られていた所をきれいに整備・観光地化したもの。歴史ある古い街並みと生活感あふれる感じで知る人ぞ知るスポットだったわけですが、映え映えのオシャレスポットに様変わりしました。

 そんな青果巷、前にも紹介した京杭大運河のほとりにあり、昔は果物の集散地で、「千果巷」と呼ばれていたそうですが、常州方言で"千"と"青"の音が似ていたらしく、いつの間にか青果巷に変わったとか。日本語的には後者のほうが果物っぽいですが。

 500mほどの短い通りではありますが、特筆すべきは「江南名士第一巷」と呼ばれていること。唐の時代から当時の高官などが移り住み、科挙で高成績を上げた人物や政治や芸術、科学などで名を成した人物を排出したことで有名です。

 挙げるときりがないらしいのですが、有名どころでは

   唐?川(とうけいせん)- 明代の文学者、思想家、軍人。当時上海近海に出没していた倭寇(日本の海賊)を撃退した。
趙元任(ちょうげんじん)- 近代の言語学者。四書の内「大学」を6歳で習得、アメリカの名門コーネル大学に留学して歴代最高成績で卒業、アメリカ言語学会会長などを歴任。「中国現代言語学の父」と呼ばれる。
張太雷(ちょうたいらい)- 中国共産党最初期の党員の一人、指導者。モスクワで開かれたコミンテルン第三回大会に中国代表として出席。
瞿秋白(くはくしゅう) - 近代の革命家、作家。中国共産党の3人目の最高指導者。
周有光(しゅうゆうこう)- 近代~現代の言語学者。中国語のラテン文字表記法であるピンインを考案し、「漢語ピンインの父」と呼ばれる。100歳を超えてから中国共産党・毛沢東批判を行う熱い人(その発言はなかったことになってる)。2017年1月に111歳で亡くなる。

 赤めの方が多いのは仕方ないですが、いろんな分野の方がでています。太字で書いた人は無料で入れる展示館があり、古い江南の邸宅の様子が見られるのでお勧めです。
 他にも、映え映えスポットらしく運河を望めるおしゃれなカフェやバー、お土産屋やタピオカドリンク屋も。ちょっと高めのレストランなんかもあります。また、まだ住んでる方もいるようで、生きた通りだと実感します。
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周有光旧居。図書館と銘打ってあり、貴重な資料が展示してあります。
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以前紹介した運河はすぐ裏。夜なんかはライトアップされて更に映え映えです。
 リニューアル前に何度か通った事があるんですが、車1台通れるかどうかですれ違いは絶対ムリみたいな道沿いに、すす汚れた白壁、夜だと窓から漏れる明かりと数メートルおきの街灯のみといった感じで恐る恐る通った記憶。まさかそんなに有名な通りだとは知らず、車ではもちろん、歩いて通るのは避けていました。今となってはもう少し味わっておけばよかった。後の祭りですが。ちなみに、アクセスは地下鉄1号線同済橋駅から北に徒歩5分ほど、文化宮駅から南に徒歩10分弱です。
 というわけでまた次回。

佐古日記 2019.10

 すっかり秋めいて朝晩は涼しくなってきましたが、ここ数日昼間は30℃超えが続いてる常州、まだエアコンが稼働しています。今回は地下鉄の話。

 かなり前に常州市内の公共交通のことを書きましたが、その際にも書いていた常州初の地下鉄が9月21日に開業しました。常州地下鉄(中国語では常州地鉄)は江蘇省で5番目、中国全土で40番目の開業で、1号線は35km、駅数は29駅(起終点駅含む)、地下鉄とは言うものの全てが地下ではなく南端の2km程は高架線で2駅は高架駅となっています。工事開始は2015年4月なので、4年半での開業となります。 image
開業に向けて準備が進む地下鉄常州北駅の入口、後ろは高速鉄道の駅(9月中旬撮影)

 今回開業する1号線は市内を南北に縦貫していて、最北端の森林公園駅から最南端の南夏墅駅まで所要時間は約1時間、乗り通すと7元(約110円)です。途中、上海-北京の高速鉄道の常州北駅、日本料理屋が多くある新区公園駅、上海-南京の高速鉄道・在来線の常州駅、建設中の2号線との乗換駅となる文化宮駅、建設中の蘇南沿江高速鉄道との乗換駅などを通ります。中国の公共交通は詳細な時刻表は掲示されず、殆どの場合運転間隔のみ公表されるんですが、常州地下鉄はラッシュ時で8分間隔、非ラッシュ時が10分間隔で運転されます。

image  永正机械の近くにも陽湖路駅ができました。南の終点南夏墅駅の一駅手前で高架駅です。先日、会社からどれくらいの距離があるのか調べてみたくなり、車のトリップメーターを使って測ったら1.4km。歩けないことはないけど微妙に歩きたくない距離なので、永正机械にお越しの際はご連絡いただければ陽湖路駅までお迎えに上がります。
開業直前の永正最寄り駅、陽湖路駅。高架駅です。

 切符は自動券売機で販売されるICカードです。タッチして入場し、出場は日本の自動改札機同様改札機に挿入して回収されます。すでにバス等で使われているチャージ式のICカードも共通して使用でき、常州地下鉄公式アプリを使えばQRコードでも乗車可能です。江蘇省内の共通交通カード「江蘇交通一?通」も使用できますが、上海の公共交通カードは使えないので注意が必要です。

 上でちょっと書いていますが2号線も建設中です。こちらは市内を東西に横断し全長20km、駅数は15駅(起終点・乗換駅の文化宮駅も含む)です。開業予定は来年の12月。こちらは自宅の近くにも駅ができるため、文化宮駅で乗り換えて地下鉄通勤もできなくはないんですが、毎日往復3km近く歩くのはちょっと… image2
地下区間を抜けて陽湖路駅への坂を登る試運転車両。

 実は今回、「もうすぐ開通します!」の体で書いていたのですが、締め切り直前の9月18日に開通日が発表されたので全面的に書き直しました。発表の3日後に全面開業と、なんとも中国っぽいんですが、まあもう慣れました。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.7

 前回ご紹介した常州のニューリテールスーパー小象生鮮ですが、記事が公開された2週間後になんと閉店してしまいました。結構便利に使っていたんですが、客の入りはイマイチ、デリバリでもあんまり動いている雰囲気もなく…盒馬鮮生の方はすごい勢いで伸びているみたいなんですが、何が悪かったんでしょう。常州には早すぎたのか…?
 さて、今回は果物の話。

 中国で初夏になると楽しみなのが果物。日本では到底お目にかかれないような果物を安く買うことが出来ます。この季節にはまずライチ(茘枝)。ライチは広東省や福建省南部で栽培されていて、食べられるのは5月中旬から7月くらいまで。最近は日本でも生ライチを見かけるようですがまだまだ高級品。常州では500グラムほどで160円ほど。
 14世紀頃の農書に「一日で色が変わり、2日で香りが変わり、3日で味が変わり、4日で色も香りも味もなくなる」と言われるほど足の早いライチ。楊貴妃が愛した果物と言われ、中国南部から早馬で長安(今の西安)まで運ばせたそうですが(Google Mapで測ると直線距離で1,400キロ位)、届いた頃には味も香りもなくなっていたような気も。

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常州市内の果物屋。一番手前に旬のライチ。中国の果物屋はなぜか深夜まで開いている。謎の一つ。
image  ライチとほぼ同じ頃に出てくるのがマンゴスチン。東南アジア原産の果物で、中国でも少し栽培されているようですが、基本的にはタイやマレーシアからの輸入品です。6個で400円ほど。暗い赤紫色の厚い皮の中にみかんの房のような形の白い果肉が入っていて甘さと爽やかな酸味が特徴で果物の女王と呼ばれています。と、ここまで知ったように書いていますが、先日初めて食べました。好きな果物ダントツ1位だったライチを脅かしています。
マンゴスチン。厚い皮の赤い色素は服につくと取れないので注意。
 果物の女王があれば王様も。ご存知ドリアン。あの臭いやつです。実は苦手で殆ど食べたことはありません。タイで売っているドリアンチップスは美味しくいただけるんですが。こちらも中国南部で栽培されていますが、輸入品も多く入ってきています。生食もしますが加工食品も多く、ドリアン飴やドリアンパイやドリアンケーキやドリアンピザなどがあります。食べませんが。 image2
ちょっと高級なスーパーの果物売り場。一番手前はお尻がランブータンでお馴染みランブータン。真ん中にプチトマト。
 南方系の果物が続いたので、常州近辺の話も。永正のある常州や無錫あたりでは果物栽培が盛んです。なかでも桃やぶどうは名物で、無錫の陽山水蜜桃というのはよく知られています。世界で一番美味しいとか言われているらしいですが、硬くてりんごのような食感で、ほんのりと甘い桃を初めて食べたときは衝撃でした(甘くて柔らかくてジューシーな桃もあります)。岡山出身の弊社総経理には到底食えたものじゃないらしく、見向きもしません。 image2
旬の果物をトラックで売るのはよく見る光景。安いので若干怪しいと思ってる。
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事務所に無造作に置いてあるパパイヤ。誰かがつまんで終業時にはなくなってます。
 他にも西瓜やメロン(ハミウリのハミはウイグル自治区の哈密から)、マンゴーやパパイヤやパッションフルーツやらドラゴンフルーツやら日本で見かけるものから見ないものまであり、しかも格安です。果物自体なかなか食べなかったんですが、中国に来てからよく食べるようになりました。中国に来てからまだ解決していない謎の一つにプチトマトとキュウリを果物屋で売っていることがあります。中国人もフルーツの一つとして食後に食べたり、3時の休憩時に食べたりしてます。もちろん普通の料理にも使うので八百屋にも売っているわけで。謎です。謎のまま今回はここまで。また次回。

佐古日記 2019.4

 春節前からずっとどんよりとした天気が続いていた常州ですが、ようやく晴れの日が増え、春らしい気候になってきました。今回はニューリテールの話。

image  そもそもニューリテールとはなんぞや、という話ですが、英語で書くと「New Retail」、中国語だと「新零售」、直訳すると「新しい小売」。中国のIT企業(と言う表現が適切かどうかわからないくらいいろんなことをやってる会社ですが)アリババの創業者馬雲(ジャック・マー)が提唱したオンラインとオフラインを結びつけ、新しい購買体験を提供するという概念のこと。ものすごく簡単に言うとインターネットでのお買い物とお店でのお買い物を融合してしまおう、ということらしい。
中国全土で7店舗しかないのに何故か常州に3店舗もある小象生鮮
 そのアリババのニューリテールを実践するお店が「盒馬鮮生」。2017年夏に鳴り物入りでオープンし、今では中国全土に137店舗(3月半ばにHP上のお店一覧で数えた)。
 その盒馬鮮生は残念ながら常州には進出しておらず、新しい購買体験ができない!時代に置いて行かれる!と嘆いていたわけですが、アリババと並ぶIT企業テンセント系列の美団が常州にニューリテールスーパーをオープン。アリババがカバ(河馬、盒馬と発音が同じ)ならテンセントは象だということで小象生鮮というお店がオープンしました。ニューリテールスーパーの特徴は端的に言ってしまうと、「お店でも買えるしネットでも買える」。それであれば既に日本の大手スーパーなどもネットスーパーがありますが、日本のそれとは大きく違い、オンラインとオフラインのシームレスなサービスを提供しています。 image2
ネット注文の商品をピックアップする店員さん
 ネットでの購入の場合、スマホのアプリで注文するとエリア内なら49元以上購入で配送料無料。しかも30分以内に届けてくれます。届けてくれるのは美団の配送員。美団はもともとフードデリバリー(ウーバーイーツ的な)のサービスでその配送員を使うことで30分配送という迅速な配送を実現しています。お店の天井には自動搬送ラインが備わっており、ピックアップした商品が搬送、集積され発送されています(あんまり使われてないけど)。
image  お店で購入する場合も普通のスーパーとは違います。量り売りが多い中国のスーパーに対してネットでも売りやすくするため肉も野菜もすべてパック詰めしてあります。値札はすべて電子ペーパーで逐次更新されていてネットとお店で価格が食い違うことはありません。その値札にもバーコードがあり、それをスマホアプリで読み込みその場で決済、レジを通らずにそのまま持って帰ることも可能。普通のスーパーに慣れた身としては売り場でそのままカバンに入れるのは非常に後ろめたいことをしている気分になるのでやったことはないです。その場で決済して後ほど配送してもらうこともできます。
電子ペーパーの値札。2本目半額などの割引情報もネットと同期しています。
 その場で決済しなくてもちゃんとレジはあり基本はそこで支払いをします。壁に設置された大きな画面付きのレジで商品のバーコードをスキャンして、スマホで支払い。現金やクレジットカードなどは使えません(噂によるとお願いすれば現金払いは可能らしい)。テンセント系のため、アリババ系のAlipay(支付宝)は使えず、WeChat Pay(微信支付)か、専用アプリに登録した銀行カードからの引き落としです。 image2
実は登録さえしてれば顔認証支払いも可能で、スマホさえも必要なかったりします
image  イートインスペースがあるのも特徴。ワンタンや麺類、チャーハンなどの中華料理からステーキやグラタン、寿司などの外国料理もあります。スーパーの生簀を泳いでいる魚やエビ、貝類を買ってその場で調理してもらうという、沖縄の公設市場的なこともできます。料理の注文はスマホから。食事中に飲み物が欲しくなったときは上で書いたように売り場から持ってきてスマホで決済してそのまま飲むことができますが、やはり後ろめたさを感じます。
日本のショッピングモールのフードコートとは違い、完全にスーパーの中にあるのでちょっと違和感。

 と、新しいスーパーの話に終始しましたが、ニューリテールは更にAIやビッグデータなどを使ってユーザの嗜好を把握してアプリでおすすめしたり、地域の消費傾向を元に在庫を極限まで減らし店舗運営の効率を最大化する…のようなもっと深い話になりますが、ここではとりあえず身近なところまで。もっと知りたい方は中国でとりあえず「新しい小売」を体験してみてください。ここに書いたいこと以上に驚くことが多いと思います。ただ、キャッシュレスなので旅行者には支払いが大変ですけど。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.1

常州も急に寒くなり、風邪をひくスタッフ続出の永正機械です。2019年1回目は常州日商倶楽部の話。

先日、2018年の常州日商倶楽部の総会・セミナー・懇親会が行われ、常州永正機械も参加してきました。常州日商倶楽部とは、常州市に進出している日系企業を会員とする組織で(賛助会員として現地企業や常州近郊の都市に進出している日系企業も入会できます)、常州の日系企業を代表する組織となっており、常州市政府との交渉や、上海総領事館・ジェトロ(日本貿易振興機構)との連携など日系企業が円滑に運営できるように活動しています。会員になると倶楽部が主催するセミナーに参加できたり中国人従業員の日本のビザ発給に必要な資料が簡素化されるなどのメリットが有り、2018年12月時点で132社が会員となっています。 image
2018年12月のゼミナーでは常州市政府に危険廃棄物やビザ制度などについて講演を行っていただきました。



常州日商倶楽部は2017年に常州日系企業倶楽部を改組して始まった会。改組前は1社が幹事会社として行っていたものを特定の企業や個人に依存しないように幹事会社を複数置き、継続して会の活動ができるようにしました。なお、常州永正機械は改組された2017年より事務局の大役を仰せつかっており、総経理の中原が代表として会合などに参加しています。
image2 倶楽部では毎年2回程度セミナー・懇親会を行い、その他にもスポーツ大会や会員企業の工場見学などを行っています。セミナーでは在上海日本国総領事館の領事をお招きして最近の日中関係などについて講話を行っていただいたり、中国の弁護士や専門家をお招きして海外で生活する上で必要なことや、日系企業を運営する上で必要な法律や条例について講演していただいています。最近では、
・江蘇省女性従業員労働保護条例の解説
・食の安全
・税務調査の動向
・環境汚染対策
・労災対策
2017年夏のセミナーと同じ日にインテル対シャルケが常州で行われ、シャルケのメンバーの控室がセミナーが行われるホテルと同じで元日本代表内田篤人選手に遭遇するという奇跡。



などのセミナーが行われました。労災対策や環境汚染対策は政府が力を入れていることもあり、非常に有用な情報が得られ、会員からも好評だったようです。
セミナーのあとには懇親会が行われるのが恒例。常州市政府の幹部の方や、上海総領事館の領事なども参加し、会場のホテルが準備した料理を楽しみながらいつも懇親会でしかお会いしない方とご挨拶したり、新しい会員の方と名刺交換したり、会員から募った景品が当たる抽選会が行われたりと毎回盛り上がります。(今回の懇親会では高校の後輩がいてビックリしました。高校の大先輩もいて、3人集まったので同窓会の常州支部を作ろうかと画策しています)
そんな常州日商倶楽部、ホームページがあるのでぜひ御覧ください。ホームページのお知らせついでに、常州永正機械のホームページも作りました。大したことは書いていませんが、合わせて見ていただくと私が喜びます。というわけでまた次回。

佐古日記 2018.10

9月に入り暑さも一段落といったところですが、季節の変わり目、みなさま体調はいかがでしょうか。実は6月末~7月中旬にかけて2回ほど高熱が出まして、休んでおりました。各所にはご迷惑をおかけしました。中国の病院にかかると扁桃炎との診断で入院直前だったんですが、入院は丁重にお断りして休養と点滴のおかげで回復。というわけで今回は中国の病院の話。

中国の病院、と聞くと「うーん」と思われるかもしれません。一昔前は設備も人もイマイチでできるだけ行きたくないところでしたが、最近はサービスレベルも上がってきています。CTやMRIなどの検査機器も外国製の最新鋭のものが入っているところが多くなっていて、(設備面だけは)バカにできません。 中国は日本以上に大病院信仰が強いのか、何があっても基本的に大病院に行くイメージ。大病院はいつも人で溢れています。そもそも日本で言う地域のかかりつけ医的な小さな診療所は少なく、公立の社区衛生服務中心(地域衛生サービスセンター)と呼ばれるところがその役割を担っていますが、設備もレベルも低いため予防接種のときくらいにしか使いません。 image
日本で言うカルテ。各自で保管して、複数の病院で共通で使います。日本もこうなればいいのに。





中国の病院のシステムで特筆すべきは、毎回お金を払うということ。「お金払うのは当然では」と思われますが、毎回の意味が違います。受診する前に初診料を支払い、検査が必要になれば検査代を支払い、点滴が必要なら点滴薬代と処置費を支払う。何をするにも前払いです。支払いの回数が多く、その都度カウンターか自動支払機に並んで支払いするのはとても面倒。しかし、検査や薬ごとに価格が出ているので、ブラックボックス的な日本の医療費よりはいいのかもしれません。

もう一つ、中国の病院でびっくりしたのが、点滴が大好きなこと。
専用の点滴室があり、椅子が100席以上並んでいて、老若男女がチューブを生やしている状況は日本ではなかなか見られないかも。頭が痛くてもお腹が痛くても何があっても点滴。点滴をしないと病気が治らないと思っているのでは、と疑っています。
image2 私も過去に幾度と病院にかかっていますが、点滴率はほぼ100%。今回の扁桃炎でも6回病院に行って10本の点滴を受けて来ました。点滴の針を指す場所も日本と違い、手の甲。最初の頃は痛そうだったので看護師さんにお願いして腕の内側でやってもらいましたが、「何だこいつ」といった顔をされました。翼状針が長時間腕の内側に入ってるのは怖いので、最近はもっぱら手の甲ですが。痛いけど。大量の患者を捌くには血管が見えやすい手の甲のほうがいいんでしょうか。ちなみに乳児はおでこから点滴。初めてみたときはギョッとしました。
会社近くの病院の「点滴ホール」。この病院は大きくないので部屋の中に30席ほど。席が足りないのか外の廊下にも椅子がおいてあります。
あと、中国といえば漢方。中国では中医と呼びます。日本では風邪を引いたときに葛根湯を飲むくらいしかイメージが無いかもしれませんが、そこは本場の中国。大病院には中医科と言う診療科があり、中医医院という専門病院まで。そこで処方される薬はもちろん漢方薬。日本みたいに分包にされ、飲みやすく加工された漢方薬もありますが、場合によっては生薬を組み合わせた小袋を渡され自分で煎じて飲め、ということも。台所で煎じると家中に得も言われぬ香りが漂い、その香りだけで健康になるような気さえします。

うちの嫁さんも何度か日本の病院にかかってますが、サービスの良さや医師の説明の丁寧さに感動し、SNSにあげて絶賛してました。医療ツーリズムで中国人を含む外国人が日本に押し寄せる、みたいな報道をここのところよく目にしますが、外から見てみるとその気持はよくわかります。もし入院するような事態になったら日本で入院したいと切に願いつつ、今回はこのへんで。また次回。

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上海の中医医院においてある李時珍の像。漢方薬の基となる本草綱目を編集した偉い人。

佐古日記 2018.05

日本ではゴールデンウィーク(NHK的には大型連休)みたいですが、中国は通常営業…というわ
けでなく、5月1日がメーデーでお休み。3連休になるだけなのであんまりゴールデンウィーク感
はありませんが。さて、今回はもともと映画業界の用語だったゴールデンウィークにちなみ映
画の話。

中国といえば言わずとしれた「アレ」な国なので、一昔前は真っ赤なプロパガンダ映画ばっかりだったわけですが、最近はそんなこともなくアクション映画やアニメ映画も数多く上映されています(日映画も)。とは言え、今年も「厲害了,我的国!」(すげぇぞ、我が国!、なお英語名はAmazing China)というプロパガンダ映画偉大な中国の発展とそれを指導する習主席を称えるドキュメンタリー映画が上映され、大ヒットしたようです(チケットがバラ撒かれたとか、党員が動員されたとか、いろいろ噂はありますが)。中国というお国柄、外国映画の上映は自由に、というわけにもいかず外国映画の年間上映本数が決まっています。そうなると興収が見込めるハリウッドの娯楽大作が優先され、邦画はなかなか上映されません。そんな中で健闘したのが「君の名は。」。(なお、中国では「?的名字。」)性表現に対する規制も厳しいため、「寝起きのお約束」がカットされるんでは、という噂もありましたが、なんとノーカットで上映されました。連日満員御礼となり、公開2週間で90億円の興行収入。邦画の中国での記録を塗り替えました(なお、それまでの記録はStand by meドラえもん)。 image
コラム書くにあたってせっかくなので映画を見に行きました。独りで。ガッキー主演のMIX。
中国語では「恋愛回旋」。
公開終盤だったこともあり、お客さんは5人。
image2 チケットは日本と比べるとかなり安く、常州では18元(約300円)~と気軽に見に行ける価格。4DXでも1,000円くらいです。チケットを買うのも最近はスマホから。見たい映画を選ぶと現在位置から近い映画館が表示され座席も指定できます。映画館についたら発券端末でチケットを発券するだけです。前に紹介した支付宝(アリペイ)などから直接予約・支払いまでできるので便利。このシステムになってから映画が身近になり、見に行く回数も増えました。発展目覚ましい中国、色んな所でショッピングモールが建設され、それに合わせてシネコンも増えています。2016年には映画館が1日あたり19スクリーン増えたらしく、2017年にはアメリカのスクリーン数を抜き世界一の映画大国となりました。ちょっと調べたら家から500mの範囲に映画館が6軒。新しいところはIMAXだったりドルビーなんとかが入っていたりと、設備も最先端。
映画館においてある発券端末。スマホの画面のQRコードを読ませるだけでチケットが出てきます。タッチパネルになっていてこの端末から購入することも可能。でも、支払いはスマホ。
そんな映画世界一の中国でハリウッドとしてはもっと上映したいけど、上で書いたように外国映画は枠が決まっているので上映できない。その枠を破る方法が「共同制作」。いろいろとルールはあるようですが、中国資本で映画を作り、中国人の俳優を出演させることで外国映画の枠から外し、自由に上映できるようにしました。最近のハリウッド映画で中国人俳優が出ていたり、中国の製品が出ていたりする場合はそれ。数年前見たインデペンデンス・デイ:リサージェンスでは唐突に中国トップの国営乳業メーカ「蒙牛」の牛乳を飲むシーンがあり、地球と月との通信も中国のメッセージングソフトの「QQ」。そして中国人女優のAngelababyが重要な役どころ。あからさまな広告っぷりに牛乳を飲んでいるシーンでは観客から冷ややかな笑いが起きました。

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ある日の映画館のスケジュール。3Dの中国映画2本、2Dの中国映画2本、日本映画1本、フランス映画1本、3Dのアメリカ映画2本2Dのアメリカ映画1本。3Dも2Dも値段はほぼ変わらず18元~25元。

映画大国となった中国ですが、マナー面ではまだまだ。上映中に電話がなるのはもちろん、通話をする人も。エンドロール途中に帰るのは当然で、以前もスタッフに「このあとはもう無い」と言われながら追い出されるのに抵抗して居座っていたら、エンドロール途中で上映が打ち切られました。ジャッキー・チェンの映画でエンドロール途中にNG集が流れていたのはそういう意味があったのかと納得。実は映画を見るという習慣がなく、日本で見た本数より中国で見たほうが多くなったかも。ただ座って見ているだけなのになぜかエネルギー使うので積極的に見に行こうとしないんですが、嫁さんに無理やり連れて行かれるので…。このゴールデンウィーク(っぽい3連休)にも「メアリと魔女の花」が公開されるっぽいんですが、嫁さんに気付かれないようにおとなしく過ごそうと思います。というわけでまた次回。

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