■中国常州レポート

佐古日記 2019.10

 すっかり秋めいて朝晩は涼しくなってきましたが、ここ数日昼間は30℃超えが続いてる常州、まだエアコンが稼働しています。今回は地下鉄の話。

 かなり前に常州市内の公共交通のことを書きましたが、その際にも書いていた常州初の地下鉄が9月21日に開業しました。常州地下鉄(中国語では常州地鉄)は江蘇省で5番目、中国全土で40番目の開業で、1号線は35km、駅数は29駅(起終点駅含む)、地下鉄とは言うものの全てが地下ではなく南端の2km程は高架線で2駅は高架駅となっています。工事開始は2015年4月なので、4年半での開業となります。 image
開業に向けて準備が進む地下鉄常州北駅の入口、後ろは高速鉄道の駅(9月中旬撮影)

 今回開業する1号線は市内を南北に縦貫していて、最北端の森林公園駅から最南端の南夏墅駅まで所要時間は約1時間、乗り通すと7元(約110円)です。途中、上海-北京の高速鉄道の常州北駅、日本料理屋が多くある新区公園駅、上海-南京の高速鉄道・在来線の常州駅、建設中の2号線との乗換駅となる文化宮駅、建設中の蘇南沿江高速鉄道との乗換駅などを通ります。中国の公共交通は詳細な時刻表は掲示されず、殆どの場合運転間隔のみ公表されるんですが、常州地下鉄はラッシュ時で8分間隔、非ラッシュ時が10分間隔で運転されます。

image  永正机械の近くにも陽湖路駅ができました。南の終点南夏墅駅の一駅手前で高架駅です。先日、会社からどれくらいの距離があるのか調べてみたくなり、車のトリップメーターを使って測ったら1.4km。歩けないことはないけど微妙に歩きたくない距離なので、永正机械にお越しの際はご連絡いただければ陽湖路駅までお迎えに上がります。
開業直前の永正最寄り駅、陽湖路駅。高架駅です。

 切符は自動券売機で販売されるICカードです。タッチして入場し、出場は日本の自動改札機同様改札機に挿入して回収されます。すでにバス等で使われているチャージ式のICカードも共通して使用でき、常州地下鉄公式アプリを使えばQRコードでも乗車可能です。江蘇省内の共通交通カード「江蘇交通一卡通」も使用できますが、上海の公共交通カードは使えないので注意が必要です。

 上でちょっと書いていますが2号線も建設中です。こちらは市内を東西に横断し全長20km、駅数は15駅(起終点・乗換駅の文化宮駅も含む)です。開業予定は来年の12月。こちらは自宅の近くにも駅ができるため、文化宮駅で乗り換えて地下鉄通勤もできなくはないんですが、毎日往復3km近く歩くのはちょっと… image2
地下区間を抜けて陽湖路駅への坂を登る試運転車両。

 実は今回、「もうすぐ開通します!」の体で書いていたのですが、締め切り直前の9月18日に開通日が発表されたので全面的に書き直しました。発表の3日後に全面開業と、なんとも中国っぽいんですが、まあもう慣れました。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.7

 前回ご紹介した常州のニューリテールスーパー小象生鮮ですが、記事が公開された2週間後になんと閉店してしまいました。結構便利に使っていたんですが、客の入りはイマイチ、デリバリでもあんまり動いている雰囲気もなく…盒馬鮮生の方はすごい勢いで伸びているみたいなんですが、何が悪かったんでしょう。常州には早すぎたのか…?
 さて、今回は果物の話。

 中国で初夏になると楽しみなのが果物。日本では到底お目にかかれないような果物を安く買うことが出来ます。この季節にはまずライチ(茘枝)。ライチは広東省や福建省南部で栽培されていて、食べられるのは5月中旬から7月くらいまで。最近は日本でも生ライチを見かけるようですがまだまだ高級品。常州では500グラムほどで160円ほど。
 14世紀頃の農書に「一日で色が変わり、2日で香りが変わり、3日で味が変わり、4日で色も香りも味もなくなる」と言われるほど足の早いライチ。楊貴妃が愛した果物と言われ、中国南部から早馬で長安(今の西安)まで運ばせたそうですが(Google Mapで測ると直線距離で1,400キロ位)、届いた頃には味も香りもなくなっていたような気も。

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常州市内の果物屋。一番手前に旬のライチ。中国の果物屋はなぜか深夜まで開いている。謎の一つ。
image  ライチとほぼ同じ頃に出てくるのがマンゴスチン。東南アジア原産の果物で、中国でも少し栽培されているようですが、基本的にはタイやマレーシアからの輸入品です。6個で400円ほど。暗い赤紫色の厚い皮の中にみかんの房のような形の白い果肉が入っていて甘さと爽やかな酸味が特徴で果物の女王と呼ばれています。と、ここまで知ったように書いていますが、先日初めて食べました。好きな果物ダントツ1位だったライチを脅かしています。
マンゴスチン。厚い皮の赤い色素は服につくと取れないので注意。
 果物の女王があれば王様も。ご存知ドリアン。あの臭いやつです。実は苦手で殆ど食べたことはありません。タイで売っているドリアンチップスは美味しくいただけるんですが。こちらも中国南部で栽培されていますが、輸入品も多く入ってきています。生食もしますが加工食品も多く、ドリアン飴やドリアンパイやドリアンケーキやドリアンピザなどがあります。食べませんが。 image2
ちょっと高級なスーパーの果物売り場。一番手前はお尻がランブータンでお馴染みランブータン。真ん中にプチトマト。
 南方系の果物が続いたので、常州近辺の話も。永正のある常州や無錫あたりでは果物栽培が盛んです。なかでも桃やぶどうは名物で、無錫の陽山水蜜桃というのはよく知られています。世界で一番美味しいとか言われているらしいですが、硬くてりんごのような食感で、ほんのりと甘い桃を初めて食べたときは衝撃でした(甘くて柔らかくてジューシーな桃もあります)。岡山出身の弊社総経理には到底食えたものじゃないらしく、見向きもしません。 image2
旬の果物をトラックで売るのはよく見る光景。安いので若干怪しいと思ってる。
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事務所に無造作に置いてあるパパイヤ。誰かがつまんで終業時にはなくなってます。
 他にも西瓜やメロン(ハミウリのハミはウイグル自治区の哈密から)、マンゴーやパパイヤやパッションフルーツやらドラゴンフルーツやら日本で見かけるものから見ないものまであり、しかも格安です。果物自体なかなか食べなかったんですが、中国に来てからよく食べるようになりました。中国に来てからまだ解決していない謎の一つにプチトマトとキュウリを果物屋で売っていることがあります。中国人もフルーツの一つとして食後に食べたり、3時の休憩時に食べたりしてます。もちろん普通の料理にも使うので八百屋にも売っているわけで。謎です。謎のまま今回はここまで。また次回。

佐古日記 2019.4

 春節前からずっとどんよりとした天気が続いていた常州ですが、ようやく晴れの日が増え、春らしい気候になってきました。今回はニューリテールの話。

image  そもそもニューリテールとはなんぞや、という話ですが、英語で書くと「New Retail」、中国語だと「新零售」、直訳すると「新しい小売」。中国のIT企業(と言う表現が適切かどうかわからないくらいいろんなことをやってる会社ですが)アリババの創業者馬雲(ジャック・マー)が提唱したオンラインとオフラインを結びつけ、新しい購買体験を提供するという概念のこと。ものすごく簡単に言うとインターネットでのお買い物とお店でのお買い物を融合してしまおう、ということらしい。
中国全土で7店舗しかないのに何故か常州に3店舗もある小象生鮮
 そのアリババのニューリテールを実践するお店が「盒馬鮮生」。2017年夏に鳴り物入りでオープンし、今では中国全土に137店舗(3月半ばにHP上のお店一覧で数えた)。
 その盒馬鮮生は残念ながら常州には進出しておらず、新しい購買体験ができない!時代に置いて行かれる!と嘆いていたわけですが、アリババと並ぶIT企業テンセント系列の美団が常州にニューリテールスーパーをオープン。アリババがカバ(河馬、盒馬と発音が同じ)ならテンセントは象だということで小象生鮮というお店がオープンしました。ニューリテールスーパーの特徴は端的に言ってしまうと、「お店でも買えるしネットでも買える」。それであれば既に日本の大手スーパーなどもネットスーパーがありますが、日本のそれとは大きく違い、オンラインとオフラインのシームレスなサービスを提供しています。 image2
ネット注文の商品をピックアップする店員さん
 ネットでの購入の場合、スマホのアプリで注文するとエリア内なら49元以上購入で配送料無料。しかも30分以内に届けてくれます。届けてくれるのは美団の配送員。美団はもともとフードデリバリー(ウーバーイーツ的な)のサービスでその配送員を使うことで30分配送という迅速な配送を実現しています。お店の天井には自動搬送ラインが備わっており、ピックアップした商品が搬送、集積され発送されています(あんまり使われてないけど)。
image  お店で購入する場合も普通のスーパーとは違います。量り売りが多い中国のスーパーに対してネットでも売りやすくするため肉も野菜もすべてパック詰めしてあります。値札はすべて電子ペーパーで逐次更新されていてネットとお店で価格が食い違うことはありません。その値札にもバーコードがあり、それをスマホアプリで読み込みその場で決済、レジを通らずにそのまま持って帰ることも可能。普通のスーパーに慣れた身としては売り場でそのままカバンに入れるのは非常に後ろめたいことをしている気分になるのでやったことはないです。その場で決済して後ほど配送してもらうこともできます。
電子ペーパーの値札。2本目半額などの割引情報もネットと同期しています。
 その場で決済しなくてもちゃんとレジはあり基本はそこで支払いをします。壁に設置された大きな画面付きのレジで商品のバーコードをスキャンして、スマホで支払い。現金やクレジットカードなどは使えません(噂によるとお願いすれば現金払いは可能らしい)。テンセント系のため、アリババ系のAlipay(支付宝)は使えず、WeChat Pay(微信支付)か、専用アプリに登録した銀行カードからの引き落としです。 image2
実は登録さえしてれば顔認証支払いも可能で、スマホさえも必要なかったりします
image  イートインスペースがあるのも特徴。ワンタンや麺類、チャーハンなどの中華料理からステーキやグラタン、寿司などの外国料理もあります。スーパーの生簀を泳いでいる魚やエビ、貝類を買ってその場で調理してもらうという、沖縄の公設市場的なこともできます。料理の注文はスマホから。食事中に飲み物が欲しくなったときは上で書いたように売り場から持ってきてスマホで決済してそのまま飲むことができますが、やはり後ろめたさを感じます。
日本のショッピングモールのフードコートとは違い、完全にスーパーの中にあるのでちょっと違和感。

 と、新しいスーパーの話に終始しましたが、ニューリテールは更にAIやビッグデータなどを使ってユーザの嗜好を把握してアプリでおすすめしたり、地域の消費傾向を元に在庫を極限まで減らし店舗運営の効率を最大化する…のようなもっと深い話になりますが、ここではとりあえず身近なところまで。もっと知りたい方は中国でとりあえず「新しい小売」を体験してみてください。ここに書いたいこと以上に驚くことが多いと思います。ただ、キャッシュレスなので旅行者には支払いが大変ですけど。というわけでまた次回。

佐古日記 2019.1

常州も急に寒くなり、風邪をひくスタッフ続出の永正機械です。2019年1回目は常州日商倶楽部の話。

先日、2018年の常州日商倶楽部の総会・セミナー・懇親会が行われ、常州永正機械も参加してきました。常州日商倶楽部とは、常州市に進出している日系企業を会員とする組織で(賛助会員として現地企業や常州近郊の都市に進出している日系企業も入会できます)、常州の日系企業を代表する組織となっており、常州市政府との交渉や、上海総領事館・ジェトロ(日本貿易振興機構)との連携など日系企業が円滑に運営できるように活動しています。会員になると倶楽部が主催するセミナーに参加できたり中国人従業員の日本のビザ発給に必要な資料が簡素化されるなどのメリットが有り、2018年12月時点で132社が会員となっています。 image
2018年12月のゼミナーでは常州市政府に危険廃棄物やビザ制度などについて講演を行っていただきました。



常州日商倶楽部は2017年に常州日系企業倶楽部を改組して始まった会。改組前は1社が幹事会社として行っていたものを特定の企業や個人に依存しないように幹事会社を複数置き、継続して会の活動ができるようにしました。なお、常州永正機械は改組された2017年より事務局の大役を仰せつかっており、総経理の中原が代表として会合などに参加しています。
image2 倶楽部では毎年2回程度セミナー・懇親会を行い、その他にもスポーツ大会や会員企業の工場見学などを行っています。セミナーでは在上海日本国総領事館の領事をお招きして最近の日中関係などについて講話を行っていただいたり、中国の弁護士や専門家をお招きして海外で生活する上で必要なことや、日系企業を運営する上で必要な法律や条例について講演していただいています。最近では、
・江蘇省女性従業員労働保護条例の解説
・食の安全
・税務調査の動向
・環境汚染対策
・労災対策
2017年夏のセミナーと同じ日にインテル対シャルケが常州で行われ、シャルケのメンバーの控室がセミナーが行われるホテルと同じで元日本代表内田篤人選手に遭遇するという奇跡。



などのセミナーが行われました。労災対策や環境汚染対策は政府が力を入れていることもあり、非常に有用な情報が得られ、会員からも好評だったようです。
セミナーのあとには懇親会が行われるのが恒例。常州市政府の幹部の方や、上海総領事館の領事なども参加し、会場のホテルが準備した料理を楽しみながらいつも懇親会でしかお会いしない方とご挨拶したり、新しい会員の方と名刺交換したり、会員から募った景品が当たる抽選会が行われたりと毎回盛り上がります。(今回の懇親会では高校の後輩がいてビックリしました。高校の大先輩もいて、3人集まったので同窓会の常州支部を作ろうかと画策しています)
そんな常州日商倶楽部、ホームページがあるのでぜひ御覧ください。ホームページのお知らせついでに、常州永正機械のホームページも作りました。大したことは書いていませんが、合わせて見ていただくと私が喜びます。というわけでまた次回。

佐古日記 2018.10

9月に入り暑さも一段落といったところですが、季節の変わり目、みなさま体調はいかがでしょうか。実は6月末~7月中旬にかけて2回ほど高熱が出まして、休んでおりました。各所にはご迷惑をおかけしました。中国の病院にかかると扁桃炎との診断で入院直前だったんですが、入院は丁重にお断りして休養と点滴のおかげで回復。というわけで今回は中国の病院の話。

中国の病院、と聞くと「うーん」と思われるかもしれません。一昔前は設備も人もイマイチでできるだけ行きたくないところでしたが、最近はサービスレベルも上がってきています。CTやMRIなどの検査機器も外国製の最新鋭のものが入っているところが多くなっていて、(設備面だけは)バカにできません。 中国は日本以上に大病院信仰が強いのか、何があっても基本的に大病院に行くイメージ。大病院はいつも人で溢れています。そもそも日本で言う地域のかかりつけ医的な小さな診療所は少なく、公立の社区衛生服務中心(地域衛生サービスセンター)と呼ばれるところがその役割を担っていますが、設備もレベルも低いため予防接種のときくらいにしか使いません。 image
日本で言うカルテ。各自で保管して、複数の病院で共通で使います。日本もこうなればいいのに。





中国の病院のシステムで特筆すべきは、毎回お金を払うということ。「お金払うのは当然では」と思われますが、毎回の意味が違います。受診する前に初診料を支払い、検査が必要になれば検査代を支払い、点滴が必要なら点滴薬代と処置費を支払う。何をするにも前払いです。支払いの回数が多く、その都度カウンターか自動支払機に並んで支払いするのはとても面倒。しかし、検査や薬ごとに価格が出ているので、ブラックボックス的な日本の医療費よりはいいのかもしれません。

もう一つ、中国の病院でびっくりしたのが、点滴が大好きなこと。
専用の点滴室があり、椅子が100席以上並んでいて、老若男女がチューブを生やしている状況は日本ではなかなか見られないかも。頭が痛くてもお腹が痛くても何があっても点滴。点滴をしないと病気が治らないと思っているのでは、と疑っています。
image2 私も過去に幾度と病院にかかっていますが、点滴率はほぼ100%。今回の扁桃炎でも6回病院に行って10本の点滴を受けて来ました。点滴の針を指す場所も日本と違い、手の甲。最初の頃は痛そうだったので看護師さんにお願いして腕の内側でやってもらいましたが、「何だこいつ」といった顔をされました。翼状針が長時間腕の内側に入ってるのは怖いので、最近はもっぱら手の甲ですが。痛いけど。大量の患者を捌くには血管が見えやすい手の甲のほうがいいんでしょうか。ちなみに乳児はおでこから点滴。初めてみたときはギョッとしました。
会社近くの病院の「点滴ホール」。この病院は大きくないので部屋の中に30席ほど。席が足りないのか外の廊下にも椅子がおいてあります。
あと、中国といえば漢方。中国では中医と呼びます。日本では風邪を引いたときに葛根湯を飲むくらいしかイメージが無いかもしれませんが、そこは本場の中国。大病院には中医科と言う診療科があり、中医医院という専門病院まで。そこで処方される薬はもちろん漢方薬。日本みたいに分包にされ、飲みやすく加工された漢方薬もありますが、場合によっては生薬を組み合わせた小袋を渡され自分で煎じて飲め、ということも。台所で煎じると家中に得も言われぬ香りが漂い、その香りだけで健康になるような気さえします。

うちの嫁さんも何度か日本の病院にかかってますが、サービスの良さや医師の説明の丁寧さに感動し、SNSにあげて絶賛してました。医療ツーリズムで中国人を含む外国人が日本に押し寄せる、みたいな報道をここのところよく目にしますが、外から見てみるとその気持はよくわかります。もし入院するような事態になったら日本で入院したいと切に願いつつ、今回はこのへんで。また次回。

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上海の中医医院においてある李時珍の像。漢方薬の基となる本草綱目を編集した偉い人。

佐古日記 2018.05

日本ではゴールデンウィーク(NHK的には大型連休)みたいですが、中国は通常営業…というわ
けでなく、5月1日がメーデーでお休み。3連休になるだけなのであんまりゴールデンウィーク感
はありませんが。さて、今回はもともと映画業界の用語だったゴールデンウィークにちなみ映
画の話。

中国といえば言わずとしれた「アレ」な国なので、一昔前は真っ赤なプロパガンダ映画ばっかりだったわけですが、最近はそんなこともなくアクション映画やアニメ映画も数多く上映されています(日映画も)。とは言え、今年も「厲害了,我的国!」(すげぇぞ、我が国!、なお英語名はAmazing China)というプロパガンダ映画偉大な中国の発展とそれを指導する習主席を称えるドキュメンタリー映画が上映され、大ヒットしたようです(チケットがバラ撒かれたとか、党員が動員されたとか、いろいろ噂はありますが)。中国というお国柄、外国映画の上映は自由に、というわけにもいかず外国映画の年間上映本数が決まっています。そうなると興収が見込めるハリウッドの娯楽大作が優先され、邦画はなかなか上映されません。そんな中で健闘したのが「君の名は。」。(なお、中国では「你的名字。」)性表現に対する規制も厳しいため、「寝起きのお約束」がカットされるんでは、という噂もありましたが、なんとノーカットで上映されました。連日満員御礼となり、公開2週間で90億円の興行収入。邦画の中国での記録を塗り替えました(なお、それまでの記録はStand by meドラえもん)。 image
コラム書くにあたってせっかくなので映画を見に行きました。独りで。ガッキー主演のMIX。
中国語では「恋愛回旋」。
公開終盤だったこともあり、お客さんは5人。
image2 チケットは日本と比べるとかなり安く、常州では18元(約300円)~と気軽に見に行ける価格。4DXでも1,000円くらいです。チケットを買うのも最近はスマホから。見たい映画を選ぶと現在位置から近い映画館が表示され座席も指定できます。映画館についたら発券端末でチケットを発券するだけです。前に紹介した支付宝(アリペイ)などから直接予約・支払いまでできるので便利。このシステムになってから映画が身近になり、見に行く回数も増えました。発展目覚ましい中国、色んな所でショッピングモールが建設され、それに合わせてシネコンも増えています。2016年には映画館が1日あたり19スクリーン増えたらしく、2017年にはアメリカのスクリーン数を抜き世界一の映画大国となりました。ちょっと調べたら家から500mの範囲に映画館が6軒。新しいところはIMAXだったりドルビーなんとかが入っていたりと、設備も最先端。
映画館においてある発券端末。スマホの画面のQRコードを読ませるだけでチケットが出てきます。タッチパネルになっていてこの端末から購入することも可能。でも、支払いはスマホ。
そんな映画世界一の中国でハリウッドとしてはもっと上映したいけど、上で書いたように外国映画は枠が決まっているので上映できない。その枠を破る方法が「共同制作」。いろいろとルールはあるようですが、中国資本で映画を作り、中国人の俳優を出演させることで外国映画の枠から外し、自由に上映できるようにしました。最近のハリウッド映画で中国人俳優が出ていたり、中国の製品が出ていたりする場合はそれ。数年前見たインデペンデンス・デイ:リサージェンスでは唐突に中国トップの国営乳業メーカ「蒙牛」の牛乳を飲むシーンがあり、地球と月との通信も中国のメッセージングソフトの「QQ」。そして中国人女優のAngelababyが重要な役どころ。あからさまな広告っぷりに牛乳を飲んでいるシーンでは観客から冷ややかな笑いが起きました。

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ある日の映画館のスケジュール。3Dの中国映画2本、2Dの中国映画2本、日本映画1本、フランス映画1本、3Dのアメリカ映画2本2Dのアメリカ映画1本。3Dも2Dも値段はほぼ変わらず18元~25元。

映画大国となった中国ですが、マナー面ではまだまだ。上映中に電話がなるのはもちろん、通話をする人も。エンドロール途中に帰るのは当然で、以前もスタッフに「このあとはもう無い」と言われながら追い出されるのに抵抗して居座っていたら、エンドロール途中で上映が打ち切られました。ジャッキー・チェンの映画でエンドロール途中にNG集が流れていたのはそういう意味があったのかと納得。実は映画を見るという習慣がなく、日本で見た本数より中国で見たほうが多くなったかも。ただ座って見ているだけなのになぜかエネルギー使うので積極的に見に行こうとしないんですが、嫁さんに無理やり連れて行かれるので…。このゴールデンウィーク(っぽい3連休)にも「メアリと魔女の花」が公開されるっぽいんですが、嫁さんに気付かれないようにおとなしく過ごそうと思います。というわけでまた次回。

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